■産後クライシスが起きる原因
産後クライシスは、出産後に起きる様々な変化が重なり合って起こるものです。代表的なものをチェックしていきましょう。 ・ホルモンバランスの変化 妊娠・出産は、女性の体にとってかなりの大事業です。妊娠してから出産するまでに女性の体は大きく変化し続けますが、それにはホルモンの分泌も深く関わっていて、ホルモンバランスもどんどん変化していきます。 特に出産後は、妊娠中とは必要なホルモンが大きく変わるため一気にバランスも崩れ、それが精神状態にも強く影響します。妊娠・出産前よりもちょっとしたことでイライラしやすくなったり、攻撃的になったりといった変化が特に顕著です。もちろん出産やその後の子育てなど思い通りにいかない大変なことがたくさんあることも関係していますが、それでも説明がつかないほどイライラしてしまうのはホルモンバランスの変化が原因のことが多いです。 ・生活の変化 出産してからは、当然子どもが第一の生活がスタートします。特にママにとってはその傾向が強く、生活の中心が子どもになり、それまでとは全く違うサイクルで暮らしていくことになります。 それだけ見ればごく普通のことではあるのですが、問題は生まれたばかりのあかちゃんはとても手がかかる、ということ。言葉でのコミュニケーションも取れませんし、夜も数時間おきに起きて泣いてしまったりします。おむつを取り替えたりミルクや離乳食を用意したりとやることはたくさんあるのに、何を求めて泣いているのかなど全てを察してあげなければいけません。ママの負担はかなりのもので、そのストレスからどうしてもイライラして夫にそれをぶつけがちになる人は多いです。 ・漠然とした不安 子育てとは、自分以外の人間の命を預かることでもあります。夫や他の家族が一緒にいてくれる時間はまだ良いですが、自分ひとりで子どもと向き合う日中など、漠然とした不安を感じて精神的に不安定になってしまうママは少なくありません。結果として、仕事を終え帰宅した夫に当たってしまい、夫婦仲がこじれる原因となります。 ・夫婦間のすれ違い 産後クライシスを悪化させてしまう原因は、夫婦間のすれ違いにあります。例えば、育児に参加してくれないパパに対してママが不満を持つのは当然ですが、逆にパパとしても急に変わってしまったママに対して不満を持ってもおかしくありませんよね。育児に協力してくれない! という憤りも間違ってはいませんが、パパの方でも仕事と育児を両立するのは大変なこと。上手くいかないのも当たり前なのです。余裕のない状態ではお互いをちゃんと思いやるのが難しい上、忙しさからコミュニケーション不足になりさらにすれ違いが深刻化しがちです。
■夫婦そろって産後クライシスを乗り越えるために
ホルモンバランスが崩れてしまうので、これまで以上にイライラしてしまうのはある程度は仕方ないこと。そんなイライラ期を乗り越える対策をご紹介します。 ・夫を頼り、思いはきちんと言葉で伝える 夫に対しては「なんでちゃんと手伝ってくれないのか」とイライラしてしまいがちですが、察してもらおうとせず具体的にあれこれと頼めば案外手伝ってもらえるものです。全て自分でこなそうとしないで素直に頼り、その後はお礼を言ったり褒めてあげたりすることで良好な関係を保ちやすくなります。不満を伝える場合にも、イライラしてみせるだけではなくきちんと言葉にすることを意識したいですね。 ・「ホルモンバランスのせい」と割り切る きっかけは子どもや夫にあったとしても、イライラしてしまうのはやっぱりホルモンバランスに原因があります。それを知っていれば、イライラしたときでも一瞬堪えて「ホルモンバランスのせいだ」と自分に言い聞かせることもできますし、「ホルモンバランスが崩れているんだから仕方ない」と苛立つ自分を許すこともできます。程度に違いはあれどどのママも通る道なのだ、時間が解決することだと思えば乗り越えやすくなるはずです。