冬の時期、食卓に上りやすいのが各種「鍋」ですよね。近年では、自宅でも手軽に楽しめるご当地鍋が人気を集めています。冬の夜に、家族みんなでホッコリとした時間を過ごせることでしょう。 働くママたちにとっては、夕食作りを時短できるお助けメニューでもありますが、「いつも同じ」だと、家族からブーイングが起きる可能性もアリ。こんなときには、これまで試したことがない、ご当地鍋を取り入れてみませんか? 今回は人気のご当地鍋の特徴と共に、そのルーツを紹介していきます。家族みんなで楽しめる鍋探しの参考にしてみてください。
■水炊きの特徴とルーツは?
今や全国的にも親しまれている水炊きですが、もともとは福岡県の郷土料理です。 水炊きの特徴は、なんといっても骨付きの鶏肉を、水から煮込んで取った出汁! そこにキャベツや長ネギ、水菜、春菊や椎茸といった野菜類を加え、豆腐やしらたきも一緒に煮たら完成します。鶏ガラのスープと野菜のうまみが凝縮された素朴な味わいが魅力の鍋で、ポン酢をつけて食べるスタイルが一般的です。 さて、そんな水炊きは、「日本の代表的なご当地鍋」として認知されていますが、実はそのルーツは西洋料理と中国料理の両方にあります。 初めて水炊き料理を提供したのは、林田平三郎氏が開業した「水月」という料理店でした。この林田平三郎氏は、15歳の頃に香港に渡り、英国人の家庭に住み込みながら料理の勉強をしたという経歴の持ち主です。現地で学んだ中国料理と、英国人家庭で味わった西洋料理。両方の「基本」を元に、日本人の口に合うようにしてアレンジしたのが、この「水炊き」だと言われています。 もともとは「鶏ガラだけのシンプルな出汁」が水炊きの特徴でしたが、近年ではそのほかの出汁を組み合わせて作るケースも増えてきています。中国と西洋、そして日本の「良いとこどり」をして生まれた鍋料理だからこそ、家庭ごとの好みの味を探してみるのも良いでしょう。
■きりたんぽの特徴とルーツは?
きりたんぽといえば、秋田県の名物として知られています。炊いたご飯を練って、長いくしに巻き付けた焼いた食べ物を「たんぽ」と言い、鍋に入れる際に適度な大きさにカットすることから「きりたんぽ」と呼ばれています。 近年では、「きりたんぽ」と言えば、鍋料理を指すケースが多く、きりたんぽと各種野菜、キノコ類などを一緒に煮込んで作ります。現在のきりたんぽ鍋は、醤油ベースが基本ですが、もともとはみそ仕立てで作られていたと言われています。 秋田県の郷土料理が全国的に注目を集めるようになったのは、大館の老舗料亭「北秋くらぶ」の 初代・石川重吉氏が、同じく名産品の比内地鶏と組み合わせて、多くの客にふるまったから。家庭で再現するときには、比内地鶏の用意が難しいことも考えられます。鶏肉で代用しましょう。ごはんを練って作る「たんぽ」を用意できれば、あとは通常の鍋づくりと同様に調理を進めていけるでしょう。