education201810

2歳前後から本格化する子どものイヤイヤ期。気に入らないとモノを投げたり、ママを攻撃してきたりする子もたくさんいます。

 

また、3歳を過ぎた男の子に多いのが、戦いごっこにハマり、手加減なくキックやヒーロー技を繰り出してくること…。

 

イヤイヤ期の子どもはきつく叱ってもますます癇癪がヒートアップするだけだし、やんちゃな子は注意されるのに慣れてしまって、少々きつく叱ってもへっちゃらだったりしますよね。

 

そんな時、叱る代わりに、ママが「えーん」と泣き真似をしてみせれば「ママを泣かせてしまった!」と罪悪感を感じてやめてくれるのでは?と思ったことはありませんか?さらに赤ちゃんに対してママが泣き真似をすると、どうなるのでしょうか?

 

今回は、ママの「泣き真似」と子どもの心の意外な関係を探ってみました。

2~3歳の子に泣き真似をしてみせると…?


わが子がどうしても言う事を聞かない時に泣き真似をしたことがある!というママに、どんな状況だったのかや、お子さんの反応などを聞いてみました。

 

「2歳の息子が、保育園に行く時間が迫っているのに着替えを嫌がって、どの服もイヤイヤ!と放り投げてしまうので、だんだんイライラしてきて…朝から大声で叱りたくないので、逆に泣いたふりをしてみせました。すると息子も泣き出してしまい…イヤイヤはストップしたけど、悪いことしちゃったなと反省しました」(Tさん・28歳・2歳の男の子のママ)

 

3歳の男の子がいるEさん(32歳)は、

 

「おもちゃの扱いが乱暴で、妹と取り合いになったりで気に入らないと、手近なおもちゃを壁に投げつけたりするんです。叱ってもさらにキレるだけで効果がなく…ママ友から、泣き真似するとやめるかもよ?と聞いたので、ある時“おもちゃさんがかわいそう”と泣き真似をして見せました。

 

息子は、最初はママ、泣いちゃダメ!と怒っていましたが、しまいに泣き出してしまい…効果あったじゃん!と思ったのですが、一週間後、また同じ手を使ったら、“ママ、泣いてない!”とあっという間にバレてしまいました」

 

いつも強くて自分を守ってくれるはずのママが泣くことで、子どもには驚き・不安・恐怖・心配などの感情が生まれ、それまでの興味関心を忘れてしまうので、一定の効果はあるようです。

 

しかし、やはり後味が悪かったり子どもに見抜かれてしまったりで、いつも通用する方法ではないかもしれませんね。

 

子どもが機嫌よくしている時に泣き真似したらどうなる?

一方、子どもが機嫌よくしている時にイタズラで泣き真似をしてみた!というママによると、 「ヨシヨシとなぐさめてくれた」(2歳) 「ティッシュを持ってきてくれた」(3歳) などの反応をしてくれる子が多いようです。いつもママがしてくれていることを覚えているのが分かりますね。

 

また、意外と多いのが、 「げらげら笑っている」(2歳) 「もう1回泣いて~と言われた」(2歳) 「知らんぷりで遊んでいる」(3歳) というもの。

 

これは 「ママが泣く」という非常事態を受け入れられず、一見誰かが泣いている時にありえないような態度をとってしまう場合と、ウソ泣きが子どもにばれている場合がありますね。

 

「子どもだまし」という言葉がありますが、小さくても、意外と泣き真似が通じない子もたくさんいます。

 

大人でも、人を信じやすくていつも周りが心配してしまうような人もいれば、相手の本音を冷静に見極める人もいます。どちらが良くてどちらがダメというものではないので、「この子の個性なんだ」と考えましょう。

赤ちゃんの場合は?


赤ちゃんに対しては、どうしてもいう事を聞いてくれないから泣き真似をしてみる…ということはないと思います。ただ、赤ちゃんがどうしても泣きやまずママも悲しくなって泣いてしまったら、ポカンとして泣きやんだという話は時々聞きますね。

 

反対に、泣き真似をしてみせると、それまでご機嫌だった赤ちゃんが泣き出すという話も耳にします。

 

赤ちゃんや幼児は周囲の行動を模倣することで、急速に様々な情報を吸収していますので、泣き顔を見せるとつられて泣く子は多くいます。

 

ママだけでなく、保育園や検診、支援センターなど同年齢の子が集まる場では、隣の子が泣き出すだけで泣いてしまう子もけっこういますよね。予防接種などでは泣き真似ではなく本当にみんな泣いているので、影響力もさらに強いでしょう。

ママの泣き真似のデメリット


ふざけてママを叩いてしまった時などにママが泣き真似をすると、感受性の強い子では何度でも泣いてあやまるなど、継続的に効果があることもあります。

 

しかし、目的が「人を叩くと痛いから」という本質にそっている間は良いのですが、大人の思い通りにさせたいがためにいつもこの方法を使っていると、場合によっては成長後までこの関係性を引きずってしまう危険性があると言われています。

 

子どもが進学・就職・結婚など人生の重大な決断をするにあたって、それが親(ママ)の思い通りでないからという理由で泣いたり、寝込んでしまったりしたらどうなるでしょうか?

 

程度の差こそあれ、泣き真似の延長とも言える親のそんな行動で子どもの人生を束縛してしまわないよう、十分に気をつける必要があります。

 

また、はじめは「泣き真似」でいう事を聞かせていたのをどこかの時点で子どもが気付いてしまった場合、園や学校で同じ方法を使って要求を通そうとする可能性もあります。

 

その影響はすぐに表れることもあれば、忘れた頃に表れることもあります。くれぐれも乱用しないよう気をつけたいですね。

まとめ


今回は「泣き真似」について取り上げてみましたが、子どもだって一人の人間。少し言い方は悪いですが、「だます」「試す」という方法をとるのは、筆者は基本的にはおすすめしません。

 

ただ、産休中などでずっと子どもと二人きりだったり、仕事が忙しくストレスがピークの時に、いつでも根気よくイヤイヤに付き合ってあげましょうと言われても、ママも限界…ということだってありますよね。

 

「泣き真似」はそんな時の最後の切り札候補として普段はしまっておき、ここぞという時に使ってみてはいかがでしょうか?

 文/高谷みえこ 参考:「幼児における他者感情および他者の見かけの感情の認知」 柴田利男 著