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CHANTOのみなさん、はじめまして!

 

みなさん、はじめまして。映画コメンテーターの赤ペン瀧川と申します。突然ですが、“ママに捧ぐ映画”というテーマでさまざまな映画をご紹介することになりました。とてもワクワクしています。 第一回目なので、少しだけ自己紹介をさせてください。 僕は“映画コメンテーター”であり、3歳の息子を持つ父親であり、結婚5年目の夫でもあります。そして、最初に伝えておきますが、僕は夫としてはポンコツです。 妻は働いているうえに家事をひとりでこなします。息子と僕のご飯を用意し、掃除や洗濯なども一手に引き受け…、夕飯時にはハイボールを作ってくれます。それに引き換え、僕は朝から晩まで映画を見て過ごし、たまにお風呂の掃除を頼まれようものなら「排水溝の髪の毛が超怖いからできません!」と拒否します。ホラー映画を死ぬほど見ているくせに、排水溝の髪の毛が怖いんです。そう、僕は夫としてはポンコツなのです。 しかし、映画コメンテーターとして全国のママさんが元気になるような映画を紹介する事ならできます。嫁が聞いたら…、きっと、こう言うでしょう。「全国のママさんを応援する前に、風呂掃除ぐらいしろよ」と。ごもっともです。 でも嫁よ、聞いてくれ。僕は家族にまつわる映画をたくさん見てきた。しかし、夫歴はまだ5年。知識はあるが経験は浅いんだ。この連載を続けながら父として、夫として、僕自身も成長していくつもりだ。僕は読者に映画を教え、読者の皆さんから夫の心得を教われば、僕ら夫婦もウィンウィンじゃないか。 …と、いうわけでよろしくお願いします。

 

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▲2014年に誕生した息子・晴太朗と。初めてのユニバーサルスタジオジャパンに浮かれる僕たち。

ママに捧ぐ映画 第一回 是枝裕和監督作品
『そして父になる』

記念すべき連載第1回目でご紹介する映画は、是枝裕和監督の『そして父になる』です。是枝監督といえば、最新作『万引き家族』がカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞するという快挙を成し遂げました。彼が2013年に撮った作品である『そして父になる』は、赤ちゃんを取り違えられた2組の家族の物語です。 タイトルこそ「父」なのですが、「母」を描いた映画でもあります。 ”そして父になる”道を歩む夫の横で、とっくの昔に”母”になっている妻たち。この映画で、何があっても”母でいる”ことの強さを目の当たりにしたら、これからの子育ての不安も吹き飛んでしまうのではないかと思うんです。”私たちママは、母親である時点でこんなにも強いんだ”って。

 

僕は息子が産まれてきてからの3年間、何度も驚かされたことがあります。それは、息子がまるで自分の分身に見えること。 ワガママを言ったり、怒ったり、調子にのったり…、まるで僕そのもの。性格だけじゃない。筋肉のつき方や、頭の大きさ、保育園での身長順まで、僕の小さい頃と同じじゃないか。これはもう、絶望的に似ていると言っていい。 お年頃になればきっと、“もっと身長高かったらなあ”なんて、同級生の高身長イケメン男子と比べて自分の体型を呪い、父である僕の体型をも呪うのだろう。しかし僕はといえば、自分に似ている君を見て、幸せな気持ちでいっぱいだ。どんなに君が嫌だと言おうとも。

 

もちろん、似ていなくたって、きっとわが子はかわいい。 でも、と思う。わが子が成長するにしたがって、“なんだか僕に似ていないんだよな”と思うようになっていったらどんな気分だろう。 そんな気持ちを抱え続けた父親が、ある日、自分と息子の間に隠された“秘密”を知ってしまうことから、この映画は始まります。

 

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▲息子のテンションが上がるのは、動物園。うん、やっぱり、僕に似ている。