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「クソバイス」などのキャッチーなキーワードで、妙齢女子を語るエッセイスト・犬山紙子さん。そんな彼女が初めて「妊娠・出産」をテーマに綴った『私、子ども欲しいかもしれない。』は、自身が32歳で結婚してからずっと悩んでいる「子どもをもつかどうか問題」に向き合うべく、いろいろな立場の女性に取材した一冊。子どもを欲しいと思っている人、子どもを産み育てている人、子どもをもたない選択をした人、同性愛の人の子育て…。いろいろな人の話を聞くなかで、感じたことや気づきなどをつづっています。

 

執筆中、私生活では妊娠し一児の母に。1歳4ヶ月になる娘さんの子育て真っ最中のなか、多忙を極める仕事との両立をする現在の心境は? 著書にまつわるお話から、著書では書かれていない出産後の「子育て×仕事」についてまで、いろいろとお話を伺ってきました!

 

人生の幸せとは

“置かれた状況でいかに生きるか”で決まる


 

あの犬山さんが「妊娠・出産」をどう綴るんだろう……と実はママたち、興味津々です(笑)。『私、子ども欲しいかもしれない。』を執筆するきっかけ、何だったのですか?

 

犬山さん:

いざ、結婚した。となると次に降りかかって来たのが、「子どもをもつかもたないか」。でも私の場合、自然と「子どもが欲しい」とは思えなかったんです。もともと子どもがニガテだったし、“子ども、大変だよ”とか、“仕事との両立、難しいよ”“とか、“夜中の頻回授乳、ハンパないよ”とかのネガティブ情報ばかりが頭をよぎってしまって…。でも年齢的にはリミットがあり、そうそう悩んでもいられない。するとまわりにも同じように悩んでいる人がけっこういて。じゃあ、いろいろな人に話しを聞いてみよう!となりました。

 

ズバッとした物言いが気持ちのいい犬山さん。だからこそ、自分の進みたい道ははっきりと決まっていそうだけれど、妊娠・出産についてはそうではなかった?

 

犬山さん:

自分の欲求には、正直に生きてきました。けれども本当のところは、いろいろな人に会うことで自分の考えや発言を見直すこともしょっちゅうで。だったら「子どもをもつこと」をネガティブイメージのままで保留にしておかず、人に会って話しを聞こう、と思いました。

 

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だからといって、“ポジ”の部分だけを聞いてまわっても仕方がない。そう思ったので、「働きながら子育てしている人」「子どもがいない人」「専業主婦の人」「同性愛の人」など、いろんな立場の女性に、妊娠・出産・子育て・その後…について、“ポジ”も“ネガ”もすべての本音を3年ほどの長い時間をかけて取材して、自分の気持ちを整理しようと思ったんです。

 

その結果、犬山さんご自身は「子どもが欲しい」という結論に至ったのですか?

 

犬山さん:

実は、最後まで答えが出ないままでした。ただ、子どものいる方と会ってお話してみると、“大変”というワードと同時に、みんなそろってすごくいい表情で“子ども、めっちゃかわいい!”って言うんですよね。私が思っていたより、みんな子育てを楽しんでいるんだな〜って。取材していくうちに、だんだんと子育てのポジティブなイメージがついてきたんですが、「子ども欲しい!」とはならなくて結局迷っていました。「答えがでないなら、もう運にまかせよう。もし子どもができたら楽しんで育てよう、できなかったら夫と2人で楽しい生活を続けよう……」そんな風に思っていたころに、妊娠したんです。

 

どんな選択をしてもしっかり歩めば幸せは見つかる

 

出産されていなかったら本の方向性は変わっていましたか?

 

犬山さん:

それは変わらなかったと思います。そもそも子どもをもつ人、もたない人両方の話を聞こうと思っていたので。

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そしてこの1冊を通して、自分のなかですごく大事な “言いたいこと”が生まれたんです。それは「どの選択をしても、その選択を自分で尊いものとして受け止めて人生をしっかりと歩んでいたら、幸せになる道が全部ある」ということ。幸せって「子どもがいる・いない」で決まるものじゃない、いかに誠実に人生に向き合うか、自分を大切にするかなんだなって。さまざまな立場の方に話を聞いたから心からそう思えたんです。

 

子育てを終えた先輩であり、憧れの女性でもある山瀬公子さんの「いろんな人生があって、いろんな幸せがあって、それぞれどこかでチャラになる」という言葉も響きました。私も自信をもってそうやって生きていこう、と思ったんです。 だから子どもを授かっていようがいまいが、「幸せになるために生きる」という結論は、変わっていなかったと思うんです。

 

【後編】では、本では語られていない、「子育て×仕事」について掘り下げてお話を伺います! 

 

 

取材・文/松崎愛香 撮影/斉藤純平