子どもの教育資金を確保するための保険としてお馴染みの「学資保険」。毎月決まった額の保険料を払うことで、契約時に設定した年齢を迎えたときに満期金や祝い金が受け取れて、それを教育費にあてられます。もっとも教育費がかかる大学入学の時期を満期に設定し、満期金200~300万円を受け取るケースが一般的です。
学資保険は貯蓄としての役割りだけなく、万一の場合の保障を兼ねられます。そんな特徴から長く親しまれているのですが、一方で最近、学資保険を不要とする声が高まっています。理由はズバリ、マイナス金利の影響による貯蓄性の低下です。となると、学資保険の加入を躊躇するのは当然といえますが…。
子どものための学資保険だからお金が貯まる
「たしかに、お得度の目安となる“返戻率”が以前より下がり気味なのは否めません。ただそれでも、マネー相談に来られた方に話を聞くと、『学資保険に入っていてよかった』という意見が多く寄せられます」
こう語るのは、個人家計の相談に乗り、教育費関連の著書も多いファイナンシャル・プランナーの竹下さくらさん。お得度が下がりながらも、現場では根強く支持され続けているわけです。学資保険の人気の秘密、貯蓄性低下を補って余りある3つの利点を解説してもらいましょう。
「第一は、子どものお金として色づけできること。たとえば、家計が苦しくなった際、定期預金などほかの金融商品だと取り崩してしまいがちですが、学資保険は子どものものと認識していますから、手をつけないでおこうというブレーキーが働きます。結果、着実に教育資金を蓄えられるのです」
保険料は毎月口座からの自動引き落しなので、必然的に強制貯蓄効果も働きます。
親の死亡で保険料の支払い免除&満期金約束
「第二は、税制優遇があること。満期などで受け取るお金は“一時所得”として扱われ、受け取ったお金と支払った保険料の差額が50万円を超えなければ税金はかかりません。たとえば、学資保険で支払った保険料の総額が260万円、受け取った満期金が300万円だったケースでは、差額の40万円を無税で受け取れます」
加えて、学資保険の保険料は生命保険料控除の対象となり、所得税・住民税を少なくできる効果もあるといいます。 「年間8万円を超える保険料を負担すると、上限の4万円の生命保険料控除を受けられて、税率20%の人であれば年間8000円の所得税が保険料払込期間中ずっと還付される計算です。あわせて翌年の住民税も安くなり、節税効果を得られます」
第三は、保険ならでは保障の要素。学資保険は原則、親が契約者・被保険者、子どもが被保険者になって契約します。 「契約者である親が死亡したら、以降の保険料の払い込みは免除に。一方で保障は継続され、満期金を受け取ることができます。親に万一のことがあった場合でも、確実に教育資金を準備できる安心感があるのです」