「子どもの目の発達は、6歳までが勝負です。生まれたときは“明るい”“暗い”の違いしか判らなかったのが、2歳になるまでに、視力0.5くらいまで発達します。1.0まで発達するのは、およそ5歳ごろ。乳児期から6歳までのあいだに、徐々に完成していくんですね。この間に大きなトラブルがあると、そこから先の回復は困難です。『スマホを見せちゃダメ』とはいいませんが、できるだけ短時間の使用にとどめるのが原則です」

スマホばかり見せていると、眼球運動も発達しない

視力だけでなく、眼球運動が発達するのも6歳まで。近くを見たり遠くを見たりするなかで、うまくピントを合わせたり、見たい方向に目を動かす能力は、6歳までの発達段階で、徐々に身についていくといいます。 富田先生によると、


「眼球運動は、体を動かすなかで発達していくものなんです。走ったり、ボールを追いかけたり、ブランコに乗ったり。こういう大きな体の動きと一緒に、眼球運動は発達します。


これができるようになると、今度は、細かい手先の動きと目の協調運動を身につける段階。鉛筆を持ったり、ハサミを持ったりするなかで、自分の手の動きと目の動きを連動させられるようになるんです。この能力も、視覚の発達にはすごく大事で、ものを注意深く見たり、たくさんの刺激のなかから、見たいものを選択して見ることができるようになります」。

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このような目の発達を考えたときに、スマホの使用はやはりよくないそう。スマホを見ているあいだは、体を動かすこともなく、ピントもつねに一定のままです。眼球が動くのも、小さな画面の範囲内だけ。さらに、小さい画面を見続けることで、斜視を発症したり、悪化させてしまう子どもも増えています。無意識のうちに目を内側に寄せるなどして、画面を眺めることが、原因のひとつと考えられています。スマホを毎日見せる習慣は、目にとってかなりの悪影響といえそうです。