子どもの熱中症は真夏だけでなく、例年、湿度が高く体が暑さに慣れていない梅雨の時期から急増しています。
乳幼児は大人と比べると体温調節機能が未発達。「暑い」と訴えたり、自力で涼しい場所に移動したりできない赤ちゃんは熱中症にかかるリスクも高く、体が小さいぶん、一度体内の水分が失われると進行が速いので特に注意が必要です。
今回は、熱中症から赤ちゃんを守るために知っておきたいことをまとめました。今すぐできることばかりなので、ぜひ参考にして下さいね。
家での熱中症対策ポイント
エアコンはいつからがベスト?
30~40年前と比べると、真夏日(30℃以上)は約1.7倍、熱帯夜は1.8倍と、日本の夏は過酷な暑さとなっています。
できるだけエアコンを使わずに過ごしたいところですが、実は、0~6歳の子どもの熱中症の発生場所としては、「在宅」が25%前後と、公園などに次いでトップクラスです。(平成27年度/国立環境研究所)
エアコンを入れる目安は、「室温28℃」かつ「湿度が70%」以上の時。これを超えると、扇風機だけでは体温を下げることが難しく、熱中症のリスクが高まるといわれています。
温湿度計などを利用して、目安を超えていたら、大人の体感で判断せずにエアコンを入れてあげることも必要です。
室内でも水分補給をこまめに
朝起きた時、就寝前、お風呂の前など、のどが渇く一歩手前で、こまめに水分補給するようにしましょう。よほど大量に汗をかいていなければ、お水やお茶で大丈夫。スポーツドリンクやジュースは糖分が多いので、ごはんに影響しないよう、量を決めて少しだけがおすすめです。
外出時の熱中症対策ポイント
持ち物や服装で気をつけることは?
夏場、抱っこひもでのお出かけはママも赤ちゃんも暑苦しいため、ベビーカーで出かける機会が多くなると思います。ただ、ベビーカーの場合、大人と赤ちゃんの体感温度がかなり違うことに注意してください。
天気予報で発表される予想最高気温は、「地上1.5mの日陰」で計測されたものをもとにしています。大人の目の高さでは30℃でも、アスファルトの地面から50~60センチの高さでは40℃近くになっていることも珍しくありません。
ベビーカー用の日よけカバーや、ひんやりとした敷きパッドなども上手に利用し、できるだけ朝や夕方の涼しい時間帯を選んでお出かけしたいですね。 帽子はもちろんのこと、服も、熱を吸収しやすい黒系を避け白などを選びましょう。
汗を拭くときは、乾いたタオルではなく、濡れたタオルがおすすめです。気化によって体温が下がる前に肌が乾いてしまうと、体はもっと汗を出そうとするので熱中症には逆効果。 濡れタオルなら、汗の塩分も拭き取れてあせもや肌荒れにも効果的です。保冷剤と一緒に持ち運べばさらにひんやりして赤ちゃんも気持ちいいですね。
水分補給は何分おきが正解?
赤ちゃんはもともと体温が上がりやすいのが特徴。もし、外出時の暑さで急激に体温が上がってしまうと、下げるためにたくさん汗をかきます。しかし、体が小さいため、汗をかくと体内の水分量はすぐに減ってしまいます。
水分補給は15分ごとを目安に、お茶やお水を少しずつ飲ませましょう。一度にたくさん飲むのは胃や腎臓に負担がかかるのでNGです。
母乳やミルクしか飲めない月齢の赤ちゃんを連れて出かける場合は、事前に、途中で授乳室などがあるかどうか確認しておくと安心ですね。
万が一、熱中症になってしまったら
体の小さい赤ちゃん。さっきまで元気だったのに、ふと見るとぐったり…ということもあり得ます。
熱中症の初期症状としては、「顔が赤い」「顔や体をさわると熱い」「いつもより母乳やミルクを欲しがる」「眠くもないのにグズグズ機嫌が悪い」などが挙げられます。
もし、熱中症かも!と思ったら、すぐに涼しい場所へ移動させましょう。屋外であれば日陰、屋内ならエアコンの効いた部屋など。
体と衣服のあいだに熱がこもっている場合があるので、服は脱がせるか、ゆるめて熱を逃します。
次に濡れたタオルで肌を湿らせたり、くるんだ保冷剤などで大きな血管の通る脇の下などを冷やして体温を下げ、落ち着いたら、少しずつ水分をとらせてあげましょう。
母乳やミルク以外の飲み物が飲める月齢の赤ちゃんであれば、塩分やミネラルが同時に補給できるイオン飲料を飲ませた方が良いと言われています。
応急処置で元気になっても、しばらくは様子を見ておき、いつもと違う点があれば医療機関を受診した方が安心です。
スマホアプリやWEBサイトも活用
日本気象協会監修の「
熱中症セルフチェック」のホームページでは、年齢や現在地(GPSでも取得可能)、室温や湿度を入力すると、現在地の熱中症危険レベルをA~Dで知らせてくれます。水分補給の目安なども書かれているので参考にしてみて。利用無料で会員登録等も不要です。
他にも、熱中症の危険性が「最大」「警戒」レベルになるとスマホにプッシュ通知してくれる有料アプリなど、役に立つものが色々ありますので、週末のお出かけなどに活用してみて下さい。
まとめ
今回は、赤ちゃんを熱中症から守る方法についてご紹介してきました。
ただし、ヒトの体には200~500万個の汗腺があり、幼児期にどのくらい汗をかいて過ごしたかによって、生涯にわたり働く汗腺の数が決まるといわれています。
汗をかかない体質になってしまうと、低体温による冷え性・アレルギー・感染症リスクや体臭など、さまざまなトラブルを招く原因ともなるため、熱中症の危険がない範囲ではぜひたくさん汗をかいて過ごさせてあげて下さいね。
<あわせて読みたい人気記事>
猛威をふるう“夜間熱中症”って!? 正しいエアコンと扇風機の使い方
文/高谷みえこ