小学校入学をきっかけに、便秘になる子も多い

子どもが成長し、小中学生になると、親が便の状態を見る機会自体がなくなります。そのため、子どもの便秘に気づいていないというケースもあるようです。 とくに小学校入学後は、便秘になりやすいタイミング。「学校のトイレでウンチをするなんて、無理!」という感覚は、昔も今も変わらないよう。便意が起きても、ついがまんしてしまい、やがては便がたまった状態に慣れてしまいます。これが慢性便秘のはじまり。

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しかも最近の子どもたちは、学校に塾に、習いごとにと、朝から晩まで大忙し。出先での排便に抵抗があるうえ、移動が多く、落ち着いて排便できる時間がとれない子もいるのだとか。朝は時間にゆとりをもって過ごさせ、朝食後に便を出す習慣をつけるのが理想的です。 「ストレスが関係していることもあります。学校がいやだったり、やることが多すぎて心が疲れていたり。

 “何をつらく感じているか”に気づき、人に話せるようになるだけでも、ストレスは軽くなるもの。家庭のなかでは話しにくいようなら、心の問題を得意とする小児科医に相談してみるのも、ひとつの方法です。

《参考文献》*1『腸育をはじめよう! 子どもの便秘を放置したらダメ!』松生恒夫(講談社) *2『小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン』日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会編(診断と治療社)

取材協力:関口 進一郎
慶應義塾大学助教(医学部小児科学)
子どもの総合診療を専門とし、周産期・小児医療センターでは「生活空間から子どもを診るチーム」として外来を担当。“生活環境が子どもの健康に影響を与えていないか”“就学・進学などの変化が健康に影響していないか”など、幅広い視点から子どもの心身を理解し、診療に当たっている。

取材・文:川西雅子