Youtubeを始めたきっかけは「コロナ禍」

—— 今や、チャンネル登録者数13万人と、すごい人気ですよね。バズるきっかけって、わかりやすく何かあったのでしょうか

 

じゅりっこさん:

コロナ禍で皆が自粛していたときに、星野源さんが『うちで踊ろう』を発信していて、それをいろいろな人が投稿していましたよね。

 

私は三浦大知さんが踊ったものをコピーダンスして、最初はただ見て欲しくて投稿していたんです。そうしたら「この踊り方の講座をしてほしい」というコメントをいただいて。はじめは正直、レッスン料をいただいて教えるインストラクターという仕事をしていたこともあり、無料で練習動画を投稿することは、レッスンにきていただく人に申し訳ない…という気持ちもありました。

 

ただ、そんな声を多くいただいたので、試しに練習動画を投稿してみたんです。それがすごく好評をいただけて、いろいろな人に「ありがとう!」とコメントいただけて。そんなことは初めての経験で「いまは無職だけど、人の役にも立てている」と、すごく勇気をもらえたんです。それから、当時流行ってたK-POPの解説動画を積極的に載せるようになりました。今までは自分の踊りを見せる目的でしか投稿していなかったので、解説動画を出すということは新たな挑戦でした。

「踊りたい」を「踊りを教えたい」という視点に変えた

—— いままでのダンス人生、壁にぶち当たったことはありましたか?

 

じゅりっこさん:

表に出る人間として活動したい、見られたい、という気持ちが小さいときからありました。そこを突き詰めていくと、誰からも応援されないとか、アーティストさんのようにファンになってくれる人が見つからない…となって、いま思うとそこが壁だったのかもしれません。

 

今までは「自分のことを知ってほしい」という思いが強かったのですが、初めて「解説してほしい」とコメントをもらったときに、すとんと腑に落ちたというか。私が求められてるものは、解説で人に教えることだったんだなあと。

そしてダンスをずっとやってきた中で「癖がないこと」が、コンプレックスでした。周りには個性が強い人がたくさんいて、その中で目立つことができなくて。それも悩みでした。その悩みは、コピーダンスをすることで、逆転の発想で生かせた気がします。誰かをコピーするからこそ、個性がないのが逆に強みになりました。

 

—— コンプレックスをプラスに変換できたのですね

 

じゅりっこさん:

そうですね、みなさまのおかげで変わりました。ずっと私は「何ももっていない」と思っていて、「ダンス踊ってる人なの?」「ダンサーっぽくないね」と言われることもしばしばでした。もがいている中でコピーダンスというものに出会って、本当によかったなと思っています。5歳のころからいろいろなジャンルのダンスに触れ合っていたのも、コピーダンスをする上ではとても役に立っています。

 

—— 実際にバズってみて、今感じていることは?

 

じゅりっこさん:

すごい充実してます!毎日楽しいです! 人からダンスを通じて「ありがとう」と言われる瞬間が、小さいときはなくて。いわれても「よくできたね」とかでしたので。「ありがとう」と感謝されることで、ここが私の居場所なんだ、と思えて、すごくやり甲斐を感じられます。ダンスでお仕事をするのは、自己満足だけじゃダメなんだって、みんなからのコメントで気づかされている日々ですね。

 

また、バックダンサーをしてた頃は、やっぱりアーティストさんありきのダンサーなので、どうしても自分を出すっていうことが、あまりしてはいけない場面だったり、っていう中で、今はいち「じゅりっこ」として見てくれるかたが増えた。そういう意味では「認識してもらってるんだ!」という嬉しさがありますね!

ダンスを通じて、これからも人と繋がりたい

—— 最後に、今後の目標を教えてください

 

じゅりっこさん:

今は「じゅりっこダンス部」というYouTubeチャンネルを頑張って、普段会えない遠くの方にもダンスの楽しさを伝えていけたら。どんどんじゅりっこダンス部を大きくしていきたいと思います。そしてこれからいろいろと落ち着いてきたら、みんなと直接会って、一緒に踊りたいです!

 

PROFILE じゅりっこさん

 

1996年生まれ。ダンス歴は20年(ジャズ20年、クラシックバレエ15年、ヒップホップ7年)。YouTubeチャンネル「じゅりっこ ダンス部」の登録者は13万人。流行のK-POP曲をほぼ全てレッスン動画にて公開し、反転と後ろ向きの2画面切り替えでとても分かりやすいとじわじわ人気に急上昇中。

取材・文/松崎愛香 写真/田尻陽子