時間管理家

「今日の5時までに終わらせなければいけない仕事があるのに、上司から頼まれていた別の仕事が気になったり、精算していなかった経費のことを思い出したりして、全然集中できない!」なんてことはありませんか?頭の中の雑用を追い払い、目の前のやるべきことに集中するためにはどうしたらいいでしょうか。建設会社役員と同時に合計7つの仕事をこなす「時間管理の専門家」石川和男さんに学ぶ「集中力を高める方法」とは?

いろんなことが気になってしまう。集中力を高める方法は?

目の前の仕事に集中できないのは、あれもこれもやろうとするからです。本来なら、パソコンで企画書を作ることに集中しなければいけないのに「これが終わったらあれをやって」と、余計なことまで考えてしまうのです。

 

いつも頭の中に「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」と「やらなければいけないこと」がたくさんあると目の前のことに集中できません。

 

そんなときはすべてノートに書き出して頭の中を整理し、そのうえで今やるべき仕事に集中しましょう。

 

たとえば、「上司にする日報の内容」「来週締切りの企画のアイデア」など、なんでもいいので頭の中にあることを書き出します。「帰宅したら親に電話する」といったプライベートなことも含めて、すべて書き出しましょう。

 

ノートは自分の使いやすいもので構いません。たとえば、私は大学ノートを使っていて、見開き左ページは仕事、プライベートなことは右ページに書いています。それぞれ1ページ35行あるので、1行につきやること1個を書くと全部で35個書き出せます。

 

頭の片隅にある「やらなければいけないこと」をノートに書き出すことにより、頭がスッキリし、1つのことに集中できるようになります。

やる気をアップさせる「歓喜の赤マル・屈辱の青マル」

時間管理
やるべきことを書き出してみる

自分でやるべき仕事が整理できたら、優先順位が高いものから順に行い、終わったものから赤丸をつけていきます。この赤丸をつけることによって「達成感」が味わえます。逆に、やる予定だったのにやれなかったら青マルをつけて「屈辱感」を味わいます。

 

私はこれを「歓喜の赤マル・屈辱の青マル」といっています。

 

赤丸が増えていくごとに達成感を味わうことができ、それによってさらにやる気がわいてきます。逆に、青マルをつけたものは翌日取り組むわけですが、そのときに「ポジティブ」に屈辱感を味わうことが大切です。「今日終わらせようと思ったのにできなかった!明日は青マルをなくすためにがんばるぞ」と気合が入り、翌日のモチベーションアップにもつながるわけです。

仕事に行き詰ってしまい、別のことをしてしまうときの対処法

「企画書を作るのに行き詰ってしまった」というようなとき。つい立ち上がってウロウロしたり、別のことがしたくなったりすることもあると思います。この場合、状況に応じて対応方法を変えましょう。

 

たとえば、何時間も作業に没頭して集中力が切れているようであれば、1時間ほど他のことで気分転換をしてから再開するのもひとつの方法です。

 

疲れではなく、単に目の前の仕事が嫌で逃げたいのであれば、タイマーをかけて30分間だけ、作業が進まなくてもとことん目の前の仕事に向き合ってみましょう。面倒だと思って腰が重かった仕事でも、一度取り掛かり始めるとスイッチが入り、集中して一気に終わらせることができます。

 

この2つをうまく使い分けられるといいですね。

 

PROFILE 石川和男さん

時間管理の専門家。建設会社役員として週5日フルタイムで働きながら、ビジネス書著者、講演家、税理士、出版コンサルタント、ブランディング講師税理士、大学講師など7つの仕事を掛け持ちしている。『24時間の使い方』(祥伝社)など計23冊出版
取材・文/間野由利子