今や人との交流に欠かすことができないSNS。若い世代を中心に、このアカウントは複数持つことが当たり前になっています。若者がSNSで複数アカウントを持つ理由を紹介します。

勤務先のウェブサイトが炎上した裏垢女子

昨年、ある「裏垢女子」が「身バレ(本人が特定されること)」して、ネット炎上しました。通常Twitterで「裏垢女子」「裏垢男子」といえば、自分の裸を投稿して性交渉の相手を探し、実際に出会う活動をしている人たちを指します。

 

その裏垢女子は、Twitterでは顔を出していませんでしたが、リアルな人と繋がっているInstagramでは自分の顔や勤務先を公開していました。彼女は勤務先のウェブサイトでも情報発信をしていたため、アクセスが集中し、彼女の情報はすぐに消される事態となりました。

 

なぜTwitterの裏垢女子アカウントとInstagramのメインアカウントが紐づいてしまったのかというと、彼女はそれぞれに同じ写真を複数枚投稿していたから。

 

このように、ネットに公開された情報を掛け合わせることで本人に行きついてしまうケースはよくあることです。最近では、就職活動で応募してきた人物の裏アカウントを特定するサービスも登場しています。

若い世代ほど複数アカウントは当たり前

こうした話を聞くと、裏アカウントはリスクになると考える人もいるかもしれません。確かに、前述の例では裏アカウントでの活動に問題があったため、大変な事態に発展しました。

 

ところが、若い世代を中心に複数のアカウントを所持することは、当たり前になっています。2022年5月スタディプラスが中学1年生から高校3年生を対象に実施したSNSに関する調査では、Instagramでは7割以上、Twitterでは5割以上が複数アカウントを持っているという結果に。

 

「学校の人全体と繋がるアカウントと、仲がいい人のみのアカウント」「本垢、サブ垢、ポケモン垢、勉強垢」など、目的に応じてアカウントを持っていることがわかりました。

 

20代、30代も同様です。2019年6月ビジュアルワークスが行った調査では、Instagramの複数アカウントを持っている人は20代で24.8%、30代で15.7%、Twitterの複数アカウントを持っている人は20代で37.4%、30代で20.4%でした。3年前の調査なので、今はもっと増えているでしょう。

 

複数アカウントを持つことがスタンダードになるにつれ、裏アカウントは、サブアカウントと呼ぶようになっています。言葉は変化するものですが、今、裏アカウントというと「アダルトなアカウント」を指すことが多くなっていますので、若い人と会話する際は気をつけたいですね。

複数アカウントで遠慮のない交流を楽しむ

メインのアカウントでは、リアルの知り合いとフォロー関係になっていることが多いでしょう。学生時代の友人、趣味の仲間、ママ友、職場の同僚、そして親戚まで、多種多様な関係の人と繋がっています。

 

予約の取りにくい店で食事をしたときの画像をInstagramにアップしたら、職場の人は「仕事が溜まっているのに」、ママ友は「贅沢すぎる」など、ネガティブな印象を抱くかもしれません。でも、グルメ好きが繋がる専用アカウントなら、高評価になります。

 

他にも、以下のようなことができるようになります。

・「職業」「妻」「母」などの属性によらない自分の世界を持てる

・愚痴や悩みなど本音の発言ができる

・趣味の仲間と深く交流できる

・資格試験や語学習得、昇進など同じ目的を持った人と繋がれる

・懸賞応募、子どもの教育など、興味のある情報収集に特化できる

安易なフォローが身バレにつながる

内容によっては、実際の知り合いにサブアカウントを知られたくない場合もありますよね。

 

サブアカウントがバレてしまうケースでもっとも多いのが「おすすめアカウント」でしょう。InstagramとTwitterは、どちらも「おすすめアカウント」が表示されます。サブアカウントがここに表示されることで、知り合いにバレてしまいます。

 

それを避けるには、まずメインアカウントとサブアカウントでフォローし合わないこと、またメインアカウントとサブアカウントそれぞれで、同じアカウントをフォローしないことです。Instagramは特にフォロー関係を重視するため、フォロー関係がまったく異なるように配慮しましょう。

 

自分の電話番号やメールアドレスを持っている人におすすめされてしまうこともあります。登録は、誰にも知られていないメールアドレスや電話番号にするなどの工夫が必要です。

 

Twitterに関しては、位置情報からおすすめすることもあると明記されています。設定でアプリの位置情報をオフにしておくと安心です。

 

アカウント名にヒントになるような単語を入れたり、同じ画像を使いまわすことも身バレにつながりやすいので、気をつけましょう。

サブアカウントでも過激な発言、誹謗中傷は厳禁

非公開アカウントにすることもおすすめです。もしバレてしまっても、内容の拡散をある程度防ぐことができます。

 

とはいえ、問題になるような過激な発言は避けるのがいちばんですし、誹謗中傷などはもってのほかです。

 

サブアカウントは、自分のなかにある複数のキャラクターを使い分けたり、目的ごとに利用したりすることが可能になります。身バレが怖い人はしっかり対策をして、有意義に楽しめるといいですね。

文/鈴木朋子
参照/スタディプラス株式会社「通学とスマートフォン・SNS利用に関するアンケート」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000130.000047308.html
株式会社ビジュアルワークス「10代・20代・30代のSNSに関する意識調査」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000034381.html