スマホを熱心に見ていたり、友だちと話していたりするからといって、子どもを怒ってはいけません。「じつは遊んでいるわけでなく、スマホで勉強しているケースもあります」と、教育YouTuberの葉一さんは言います。
コロナ禍で“皆で一緒に勉強する”大事さを知った
—— 葉一さんのYouTube動画には、“自習室”といって、葉一さん自身が黙々と作業するだけの動画も配信されていますよね。
葉一さん:
勉強している動画を配信して、一緒に勉強を頑張る“作業用動画”が海外で流行っていたんです。
それで、私のYouTube視聴者からリクエストがあって、自習室動画「Study with me」を始めました。
最初はリアルタイムで自習室動画を配信せずに投稿していました。ただ、コロナ禍で学校が休校になったのをきっかけに、生配信に変えました。
コロナ禍でも生活リズムが崩れないように午前中からライブ配信するのが好評で、それ以後コンスタントに配信しています。
リアルなつながりがなくなってしまい、寂しがっている子どもたちが多いんだなと感じます。
なので、友達から尊敬している著名人まで、自分が信頼できる人が画面に写っていると、連帯感が生まれて頑張ろうと思えるようです。
気配を感じながら勉強する観点では、私自身、“環境音”を流して勉強するとはかどることがあります。
部屋でのシーンとした無音が苦手で、カフェにいるようなザワザワした音や海の音などを聞きながらのほうが、集中できることも。
ときには気分を変えて、環境音を聞きながら勉強したり、誰かとつながりながら勉強したりしてみるのもおすすめです。
スマホをいじっていても怒ってはいけない訳
—— 他の人と一緒に勉強する環境が整うのは、YouTubeならではですね。
葉一さん:
他にも友達同士、LINE通話でつながりながら勉強している子どももいますよね。
「今から勉強しよう、ひと言もしゃべっちゃだめだよ!」と言い合いながら、みんなで一斉に勉強をします。
聞こえてくるのは、問題集などにシャーペンで書き込む音や子どもたちの息遣いだけ。
そして、決めておいた休憩時間になったらおしゃべり…そんなふうにLINEを勉強のために使うことってあるんです。
一緒に勉強する時間を共有すると、サボりづらくなったり、リアルの場で集まっている感覚になって集中できたりするようです。一緒に図書館で勉強しているのと似た感じですね。
スマホをいじって手元に置いていても、遊んでいるわけではない場合がある。令和の勉強スタイルのひとつですね。
親が情報のアップデートをする必要性
—— 勉強する子どもに対して親は何をすべきでしょうか?
葉一さん:
親御さんは、子どもと対等になれるように情報のアップデートが必要です。
「ママやパパはうちらのこと全然わかってないよね」となると、子どもが口を閉ざしてしまいます。
それではもったいないので、親世代も、今の子どもの勉強スタイルを理解してあげないと。
子どもの心が開くよう、親世代には「今の子どもの当たり前」を知っていてほしいと思います。
PROFILE 葉一さん
教育YouTuber。2児の父。東京学芸大学卒業。2012年YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」の運営を開始。動画累計再生回数は5億回以上。テレビ含めメディアにも出演多数。著書に『塾へ行かなくても成績が超アップ! 自宅学習の強化書』(フォレスト出版)
取材・文/桐生奈奈子