部活、動画視聴、LINEなど、令和時代の中高生は日々ハードなスケジュールで、まとまった勉強時間が確保しづらい…。しかし、「“長く続ける”ことが大事なわけではありません」と話すのは、教育YouTuberの葉一さん。こま切れ時間の使い方こそが、令和の賢い勉強法だとか。
「続ける」よりも「分割」するほうがいい
—— 子どもは、勉強はしないといけないと思いつつ、帰ったらスマホもいじりたいし、LINEの通知もひんぱんに届く。2時間などまとめて勉強に充てるのは難しそうです。その場合、どうすればいいでしょうか?
葉一さん:
長時間続けて勉強する必要なんてありません。それぞれ自分に合った勉強法を見つけてほしいのですが、私は「分割勉強法」をオススメしています。
例えば、帰宅後に2時間勉強すると決めたとしましょう。2時間続けて勉強すると途中で集中力が切れてしまうこともありますよね。
そこで、帰宅後から夕食までに1時間、お風呂から出たら30分、寝る前に30分と、時間を分けて勉強させてみてはいかがでしょうか。勉強への集中力は断然、高まります。
「“丸つけ”はすぐやったほうが効果的」な理由
—— なるほど!そのほうがメリハリをつけて勉強できそうです。分割勉強法を行う際の注意点はありますか?
葉一さん:
ポイントは1日のうちで、“同じ科目の単元”、“2~3ページ分”など狭い範囲をピンポイントで勉強することです。
例えば、最初の1時間でひと通り解いてみて、お風呂から出た30分に同じ問題を復習する。
そのとき、すべての問題を解くのではなく、最初に解いたときに間違った問題や正解だったけど不安が残る問題を、もう一度復習することで定着率を上げていきます。
そうすると最初1時間かかった問題が30分くらいで終わることがあります。さらに寝る前に間違った問題を30分復習すれば、もっと定着率が上がります。
疲れているときは、数学の問題集1ページ、英単語を10個覚えるなど、狭い範囲に絞って勉強するだけでもいいでしょう。
毎日の習慣として、勉強をやりきった達成感を味わえるようにしておくだけでも十分です。
また、解いた問題にすぐにマルをつけることも重要です。
すぐにやらないと、自分が問題をどう解いたか忘れてしまいがちで、ただマルかバツをつける作業になってしまいます。
たとえ答えが正解でも、勘が当たっただけならあやふやな理解のままにせず、きちんと理解が定着できるようにしましょう。
そのため、問題を解く際に解答に自信がない設問があれば、印をつけておくと、あとでわかりやすいですよ。
自宅学習の段取りは下校時に考えるべき
—— 家に帰ってからすぐに勉強しやすい科目や種類はありますか?
葉一さん:
得意科目や、やりやすい問題からスタートするとスムーズです。簡単な問題をもう一回やると、勉強するモチベーションを上げやすくなります。
オススメは、学校にいるときに、帰宅後に取り組む勉強を決めておくことです。
—— というのは、どういう意味でしょうか?
葉一さん:
勉強って取り掛かるまでに時間がかかりませんか?「今日は何をやろうかな?」と考えるだけでも意外と多くの時間がかかってしまうものです。
学校にいるときに“今日は社会の10ページの復習からやろう”と、このように決めるだけでも大丈夫です。それだけで、机に座った瞬間から頭が勉強モードへと切り替わりやすくなります。
また、寝る前に今日勉強したことを思い出すようにしてください。解けなかった問題を確認してみるのもおすすめです。そして朝、もう一度反復できれば、さらに定着できるはずです。
勉強は朝型?夜型?正解は…
—— 登校前の朝も、勉強したほうがいいのでしょうか?
葉一さん:
朝学習がいいと言われがちですが、私は自分のやりやすいほうでいいと思っています。もちろん、朝も夜も、どちらでも勉強できるようになると、なおいいとは思いますが。
例えば、大人だって低血圧の人は朝起きてすぐに仕事をやりなさいといわれると難しいですよね。
それぞれ自分のコンディションに合わせて勉強しやすい時間帯に勉強すればいいと思います。
ちなみに、朝勉強までできなくても早起きはできるようにして欲しいです。特に受験生に言えることなのですが、入試は午前中から始まります。
勝負本番の時間に頭を働かせるためにはある程度の早起きが必要なのです。試験当日もいいパフォーマンスを発揮できるようになるからです。
ちなみに、身体を整えておくという意味では睡眠時間は絶対削らないでほしいです。寝不足だと、机に向かっても頭がボーッとして効率は下がります。身体を壊してしまう危険も。
睡眠時間を削らないで、決まった時間に寝起きして、生活のリズムをつくって勉強に集中できる身体を整えてほしいですね。
PROFILE 葉一さん
教育YouTuber。2児の父。東京学芸大学卒業。2012年YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」の運営を開始。動画累計再生回数は5億回以上。テレビ含めメディアにも出演多数。著書に『塾へ行かなくても成績が超アップ! 自宅学習の強化書』(フォレスト出版)
取材・文/桐生奈奈子