子どもがタブレットで動画を観ているので、注意しようとしたら実は勉強していた!昔は紙の問題集を解く勉強が一般的でしたが、今はタブレットやスマホを使った勉強法も豊富。教育YouTuberとして活躍する葉一さんに、デジタルツールの有効性についてお聞きしました。
勉強のハードルを下げる意味では魅力あり
—— 我が家の小学3年生になる息子がタブレット学習に興味を持っています。家庭学習のツールとしておすすめできますか?
葉一さん:
サクサクとゲーム感覚でできるので、勉強に前向きでない子にはそういった意味でおすすめです。
また、最近はタブレットで先取り学習もできるようになっているので、先の勉強を進めたい子もやってみるといいでしょう。
—— タブレット上でスラスラと指で画面をなぞる姿を見ていると、本当にわかっているのかな?と感じてしまうのですが…。
葉一さん:
タブレットの勉強とプリントの勉強、今の子にとって効果は同じように感じます。親が心配なら、タブレットをメインにしつつ参考書と併用してみてもいいのかなと個人的に思います。
途中式が残らない「算数」のデメリット
—— タブレットを使う上で注意することは何ですか?
葉一さん:
子どもの答えが残らないので、プリント学習よりも間違った部分を親が確認しにくくなるという視点は、持っておくべきです。
タブレット学習をするなら、間違ったら「ブー」と音が鳴るように設定するなど、習熟度合いに気がつくよう、少しだけ親が関わる姿勢を持つといいでしょう。
子どもにとって「監視されている」という受け取り方をされると本末転倒ですが、親が“自分の勉強に興味を持ってくれているんだ”と思えるのは、安心感に繋がります。
ただ注意したいのが、算数などの数式です。算数は解く過程も大事になりますが、タブレットだと途中式が全部消えてしまうことがあります。
どこで間違ったのか、途中式を残すことができないのは、注意すべきポイントです。
そういった注意点があるとはいえ、消しゴムを使わずボタンひとつでサッと消せるラクさもタブレット学習のメリットです。
教育動画では予習よりも復習から始めて
—— 教育系のYouTube動画も増えましたが、たくさんあってどれを見ようか悩みます。動画で勉強するコツはありますか?
葉一さん:
たくさんありすぎて悩んでしまうときは今、学校で習っているところの復習分野から見てみるといいでしょう。
私のYouTube動画は、教科書1冊をまるまる動画にしています。どんなにマイナーな単元でも全部動画になっているので、好きな単元を復習できます。
ポイントはYouTube動画1本を全部見ようとしないことです。参考書にも同じことがいえるのですが、勉強ができる子どもたちは全問解こうとしないですね。
簡単な問題は飛ばして応用と発展問題しかやらなかったり…。必要なものを必要なときに選択するのが大事です。
YouTube動画では、最初に穴埋め問題を解いてみて、できなかった問題を洗い出してみてください。
そして、できなかった問題のみ解説をチェックするなどしながら活用してみると効率的です。
こうやってピンポイントで確認できるのもYouTube動画の魅力だと思います。
—— YouTube動画ならではですね。他におすすめの活用法はありますか?
葉一さん:
倍速再生も活用してみてください。1.5倍速や0.75倍速など自分に合う速度で使うことをおすすめしています。3年生でも1.25倍速で聞き取ることができるようです。
倍速でスピードが速くなると、聞き逃さないように「ちゃんと聞こう」という意識も働いて、動画を観る姿勢が能動的になることもメリットです。
PROFILE 葉一さん
教育YouTuber。2児の父。東京学芸大学卒業。2012年YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」の運営を開始。動画累計再生回数は5億回以上。テレビ含めメディアにも出演多数。著書に『塾へ行かなくても成績が超アップ! 自宅学習の強化書』(フォレスト出版)
取材・文/桐生奈奈子