防災グッズは準備万端。水やカンパンも大量のストックあり。これで災害の備えは万全!と思っている人は大間違い。「多くの家庭で見過ごしがちな点があります」と、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。
銀行口座のIDやパスワードを夫婦で共有できている?
横山家では、防災グッズの中に5万円程度の現金を入れています。
災害時にはクレカや電子マネーなどの電子決済や銀行などのATMが利用できないケースが想定されるからです。「有事の現金」が強い味方になってくれます。
このように、有事の際に大事なのはお金であることに間違いはありません。そのためにふだんからどんな備えが必要でしょうか?
夫婦それぞれの銀行口座。お互いそのキャッシュカードの暗証番号をご存じでしょうか?ネット銀行を利用しているなら、お互いにIDやパスワードを把握できていますか?
セゾン自動車火災保険株式会社が、全国の30代~50代の男女1000名を対象に実施した調査によると、キャッシュカードの暗証番号をお互いに知らない夫婦は全体の56.3%。
インターネットバンキングに必要なIDやパスワードをお互いに知らない夫婦は70.7%にものぼります。
夫婦どちらかがアクシデントに見舞われた際、パートナーの銀行口座の存在やキャッシュカードの暗証番号を知らないと、トラブルに対して十分な対応を欠くことになりかねません。
インターネットバンキングのIDやパスワードも同様です。
どの金融機関にどれだけお金があるかもわからず、備えあれば憂いなしとはいかなくなってしまいます。
思わぬアクシデントによる損失を防ぐためにも、これらの情報は夫婦で共有しておきましょう。
保険証券の保管場所を知る人は20%たらず
加入している生命保険・損害保険の契約内容も、夫婦で共有しておくべき情報のひとつです。
パートナーに万が一のことがあった際、保障や補償を受けられるかで状況は大きく変わってきますよね。家族を守るために機能してこそ保険加入の意味があるわけです。
しかし現実はそのようになっていません。
前述の調査結果を見ると、自分名義の保険は67.9%の人が把握しているのに対し、家族名義の保険だと把握している人は44.4%に留まります。
加えて、保険証券の保管場所の問いには、自分名義の保険は41.9%の人が把握しているのに対し、家族名義の保険になると23.9%の人しか把握していません。
ではどうすればいいでしょうか。銀行情報は、手帳などにメモして夫婦で共有するのがひとつの方法です。
パスワード管理アプリを使う手もあります。私たちが使っているのは「LastPass(ラストパス)」です。
LastPassは各種webサイトにログインするためのパスワードをクラウド上で管理できる無料のアプリ。
ネット銀行のパスワードを登録し、あとはお互いにLastPassのIDとパスワードさえ覚えておけば、アクセスできるわけです。
保険の情報は、契約内容や保険証券の共有が難しければ、保険加入の有無だけでもお互いに知っておくといいでしょう。
2021年7月に生命保険契約照会制度がスタートしたため、生命保険の契約者に万が一のことがあった際、親族などが加入状況を照会できるようになりました。
加入先だけでもわかっていれば、該当する保険会社に契約内容などを問合わせれば手続きができるのです。
損害保険も自然災害で被災した場合に限り、同様の照会制度を設けています。
銀行の預金も保険の保障も、いざというときのためのもの。困ったときに夫婦、家族が役立てられるよう、管理の仕組みを考えてみては?
監修/横山光昭 取材・構成/百瀬康司 イラスト/村林タカノブ
参考/セゾン自動車火災保険株式会社 夫婦間・家族間における、お金の管理に関する調査(2021年12月実施)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000033692.html