転勤でパートナーが単身赴任になると、離れて暮らすため、それぞれの支出が不透明になり、家計管理が難しい…。そんな悩みに対し、家計再生コンサルタントの横山光昭さんは「遠隔管理できる方法があります」と話します。
すべての費用を把握する必要はない
これまで家計相談を受けたご家庭のなかにも、パートナーの単身赴任をきっかけに、やりくりに悩むようになった方は数多くいらっしゃいました。
離れて暮らす相手に「毎月、何にいくら使ったか」を記録させるのも手かもしれませんが、報告する側はどう思うでしょうか?面倒に感じるうえ、いい気持ちはしませんよね。
家計管理のためにもし必要になったとしても、すべての費目を把握する必要はありません。
というのは、単身赴任の場合、住居費や光熱費は会社の負担や補助を得られることが多く、家計への影響度は低くなります。
また、どちらも固定費で大きな変動はないため、事細かに管理するまでもないでしょう。注意すべきなのは食費や交際費、こづかいといった費目です。
単身赴任中は自由度が高く、これら変動費ほど増えてしまいがちに。予算を正しく見積り、妥当な金額を設定することが先決といえます。
食費は“かかるもの”として想定の1.5倍に
食費については従来の1.5倍で設定することが大事です。ひとり暮らしの食費はそれなりにかかります。
場合によっては、家族単位のほうが1人あたりの食費を安く抑えられたりするものです。
ですからたとえば、食費を月3万円と見積もったら、1.5倍の4.5万円までは許容する。少し余裕を持たせ、その範囲内でやりくりしてもらうのがポイントです。
代わりに、交際費やこづかいなどの予算は明確に決めて守ってもらいます。必要に応じて削ることも辞さない姿勢で臨んでください。
問題は、単身赴任するパートナーの財布をいかに遠隔でコントロールするかです。
離れているからこそオンラインで話すのも効果的
私が提案したいのが、以下の2つの方法です。
1.オンラインの定例マネー会議
毎月1回、日時を決めてzoomなどで「マネー会議」を開きます。定例のマネー会議は横山家ではおなじみの習慣です。これをオンラインで取り入れてみてはいかがでしょうか。
気になる費目が予算通りに収まったかどうか、予算オーバーの費目があれば理由を聞き、改善策などを話し合います。
面と向かって話すのも、夫婦のコミュニケーション上でもプラスとなるでしょう。離れているからこそ、お互いの苦労もわかるし、パートナーのありがたさも感じるはずです。
2.共有口座で使途を見える化
夫婦で共有口座を作り、支出や残高を共有します。アプリの「Kyash(キャッシュ)」や「B/43(ビー・ヨンサン)」なら、プリペイドカードとスマホでそれが可能です。
利用は無料で、スマホですべて完結します。食費、交際費、こづかいなど双方合わせた予算を共有口座に入金。
それぞれプリペイドカードやスマホで決済すると、誰がいつ何に何円使ったか、リアルタイムに反映されアプリで閲覧できる仕組みになっています。
その履歴は自動的にカテゴリー分類されるため、パートナーが予算オーバーしたらひと目でわかります。
どちらも手軽かつ便利。離れて暮らすパートナーのお金の管理が簡単にできます。
ただし、実践には注意が必要です。マイホーム購入など目標実現に向けた貯金や、破綻しないための家計改善など、必要性とその思いを共有して臨むようにしましょう。
監修/横山光昭 取材・構成/百瀬康司 イラスト/村林タカノブ