マーケティングのひとつの方法として、さまざまな企業が取り組むSNSの公式アカウント。そのひとつの成功例として、彗星のように現れたのは、Twitterのフォロワー数6.5万人の安井ファームさん。いったいどのように「ブロッコリーの人」として、不動の地位を築き上げたのでしょうか。

「正直レシピ本まで出せるとは思っていませんでした」

遠慮がちに語るのは、ブロッコリーにまつわるユニークな発信で人気を博す、安井ファーム公式Twitterアカウントの中の人。

 

広報課の担当者が運用しています。

 

フォロワー数もさることながら、最近はブロッコリーに特化した著書『日本一バズる農家の健康ブロッコリーレシピ』(KADOKAWA)も話題に。

 

「オッケーブロッコリー」「ナイスブロッコリー」といったブロッコリー語からキャラ設定まで、何から何までブロッコリー愛溢れるキャラクターが魅力です。

LINEスタンプまでリリースしている愛がすごい

入社8か月で二度目のがんに 葛藤の中で得た広報の仕事

「ブロッコリーの人」としてプロのアイデンティティを貫くためには、並大抵ではない努力をしているに違いありません。

 

SNS戦略の秘密を探るべく、担当になった経緯をたずねると、そこには意外なサイドストーリーがありました。

 

「広報担当として、ブロッコリーの選別作業のかたわらTwitterを運用していますが、もともと入社したときには、広報課という部署はありませんでした」

 

広報担当者は、安井ファームに途中入社をしてこの4月で8年目を迎えたといいます。

石川県産のブロッコリーの約3割を1社単独でシェアしている安井ファーム

 

ところが、入社して8か月のときに、二度目のがんが発覚。長く休むことになるばかりか、職場復帰後も、体調的な理由で力仕事もある農作業は当然できません。

 

「何もできないのに、ただただ出勤する…そんな日々が続いていました。

 

会社のゴミ拾いをしたりしていたのですが、何か自分にできることがないか、と社長との面談を重ねて広報の仕事を志願し、任せてもらえるようになりました」