マスク生活も早2年越え。マスクで顔が隠れているので、メイクはどんどん薄くなり、スキンケアも手抜きになっていませんか?実はその手抜きが、知らぬ間に肌老化につながっているかもしれません。
マスク生活が日焼けやシミに及ぼす影響について、美容皮膚科タカミクリニック副院長の山屋雅美先生に伺いました。
マスクは紫外線対策にならない!?
── マスク生活にすっかり慣れてしまい、紫外線対策も以前より疎かになっている気がします。肌への影響を先生はどうお考えですか?
山屋先生:
マスクをしていても、顔の上半分は隠れていませんし、紫外線はマスクを通り抜けます。「マスクがあるから」と油断せず、外出時や窓の近くにいる場合は特に、日焼け止めを顔全体にしっかり塗りましょう。化粧下地にSPFが入っているものもありますが、それだけでは不十分です。
化粧下地は、ファンデーションの密着を良くしたり、肌を明るく整えたりする効果をメインに作られているものです。一年を通してUV機能に特化している日焼け止めをスキンケアの後に塗り、その後に化粧下地を使いましょう。
日焼け止めの塗り方は、2〜3回重ねて塗ることをおすすめします。1回塗っただけでは、顔全体の6割くらいしかカバーできていません。意外と塗り残しが多いのです。顔全体に塗った後に、さらにもう1回重ねて塗りましょう。塗り漏れが多い小鼻や目周り、生え際などに気をつけて塗ると、塗りムラを防ぐことができます。
マスク内の潤いは外した瞬間に失われる
── マスクをしていても、日焼け止めを顔全体に重ねて塗ることが大切なのですね。 マスク内は湿っていて、肌が潤っているような感じがするので、スキンケアも疎かになりがちです。
山屋先生:
マスクをつけている間は、たしかに呼吸によって肌は蒸れて潤っています。そのため、マスク生活になってから、蒸れが原因でニキビができてしまう方も多いです。
しかし、潤っているのはマスクをしている間だけ。マスクを外した瞬間に肌の中の水分が飛んでいき、一気に乾燥状態になります。
乾燥を防ぐためには、普段のスキンケアに、バリア機能を整えるセラミド成分を加えるのがおすすめです。セラミドは、肌の角質が乱れているときにも、肌内部の水分を抱え込み蒸発させない状態を作ってくれます。スキンケアの最後には、肌に与えた水分が逃げないように、乳液やジェルでふたをするのも重要です。
また、のどが渇いたら水を飲むように、肌も乾燥を感じたらすぐに保湿をする必要があります。長時間マスクをするときには、メイクの上からも使えるミストタイプの美容液を常に携帯するのが良いと思います。
肌が乾燥すると紫外線ダメージを受けやすくなる
—— マスク生活では、蒸れたり、急に乾燥したり、肌にとっては過酷な環境なのですね。肌が乾燥すると、日焼けに悪影響でしょうか?
山屋先生:
肌が乾燥すると、肌表面の角質層の状態が乱れます。角質層には、もともと肌の中に紫外線が入り込むのをブロックしているバリア機能があるのですが、角質層が乱れるとその隙間から紫外線ダメージを受けやすくなります。
その結果、シミが増え、バリア機能がさらに崩れる、という悪循環に陥ってしまうのです。
マスク生活になって肌が荒れ、シミができやすくなったと実感している方も多いのではないでしょうか。マスクをしていると肌が守られているような感覚になりがちですが、マスク生活こそ、普段のスキンケアでの保湿と日焼けケアが必要です。
また、乾燥だけでなく、「マスクによる擦れ」でもバリア機能が崩れ、くすみやシミの原因になる可能性があります。マスク擦れを防ぐため、顔の形に合ったマスクを選ぶこと も重要です。
マスクを外した後に、マスク跡が強く残ってしまっているのは肌が擦れている証拠なので、マスク跡があまり残らないマスクを選びましょう。
—— 肌のくすみやシミが気になるときはどうしたらよいのでしょうか?
山屋先生:
そんなときは、保湿ケアのほかに、角質ケアも取り入れましょう。肌の角質を無理にむかない優しいピーリングがおすすめです。
また、マスクと肌が当たる目元下から頬骨のラインのシミが濃くなっている人は、肝斑かもしれません。肝斑は、個人差がありますが、30〜40代でできやすく、ホルモンバランスに関係しているとも言われています。
摩擦の刺激で濃くなりますので、今まで目立たなかった肝斑が、マスクによる擦れで刺激されて濃くなっている可能性もあります。マスク擦れを防ぐために、不織布マスクの下にガーゼをするのもいいでしょう。肝斑がどうか気になるときは、美容皮膚科への受診をおすすめします。
PROFILE 山屋雅美先生
取材・文/伊藤恵美