カリスマ的な人気を誇ったモデル時代を経て、現在は執筆業やプロデュース業など幅広く活躍している押切もえさん。私生活では、4歳長男、0歳長女の2児の母です。
育児は予想外の連続ですが、押切さんにとってまず初めの大きな「予想外」は“赤ちゃんが寝ないこと”だったそう。そのときの心の状態や、考えたことについて聞きました。
予想外…「赤ちゃんてこんなに寝ないの?」
ふたり目の赤ちゃんを育てていると、「そういえば、最初の子のときにもこういうことがあったな」と、あまり焦らなくなっている自分に気づくことがあります。
たとえば、ちょっと指をしゃぶり始めたときに、「あぁ、歯がかゆいのね」と思ったり。ひとり目のときのように、「これってヘンじゃないのかな。もしかしてうちだけ?」という不安を感じることは少なくなりました。
ひとり目のとき、育児書もしっかり読んでお迎えしたのに、予想もつかないことばかりでした。そもそも赤ちゃんというのは、ほとんどすやすやと眠っていて、起きて遊んだ後も、ベッドに戻したらまたスッと寝るものだと思っていたんですよ(笑)。
それが、「こんなに手をかけないと寝ないの?」と、まずそのことに驚きました。
産後6か月頃、友人に助けを求めて
出産直後は寝不足で疲労がたまっているうえに、ホルモンバランスが崩れてメンタルも不安定だったので、ちょっとしたことですぐに落ち込んでしまうことがありました。
産後2週間ほどの産褥期に、海外から短期間だけ友人が来てくれて、どうしてもそのときにしか会えなかったので自宅に招いたことがあったんです。私は初めての赤ちゃんの世話をしながらお茶を出したりして、きっと彼女の目にはアタフタして見えたんでしょうね。「あぁ、もう大丈夫なの~?」と明るく笑って言われたんです。
普段の私だったら、ぜんぜん気にしないようなことなのに、「私ってダメなママに見えてたんだろうな…」と、あとでものすごく落ち込んでしまいました。
6か月頃には、夜中の授乳のお世話とおむつ替えで、何度も起きる赤ちゃんに私も睡眠不足が続き、ヘトヘトに疲れきってしまったことがありました。これはそろそろ解決するときなのかもしれないと思って、子どもの寝かしつけの本を出版されている友人の愛波文さんにLINEで悩みを吐露したこともあります。
今思えばなかなか弱りきっていましたが、文さんからの優しいアドバイスですごく救われました。育児の悩みはひとりで抱えこまずに、周囲に相談したり、人に聞いてもらうことも大事ですね。
「子どもは親の言う通りにはならない」
親のメンタルはきっと子育てに影響すると思います。だから自分の心を安定させておくことは重要視しています。
最近、とても尊敬している方から教えていただいた言葉で「子どもは親の言うとおりにはならぬ。親のするとおりになる」というのがあって、とてもいい言葉なので折に触れて思い返しています。
親が自分のことを棚に上げて「これをやってね」「ああしてね」と言っているだけでは、子どもは聞いてくれないんですよね。
親自身が忙しく、ときにさまざまな悩みごとを抱えるなかでも、子どもには優しく、明るく、良い態度で接して示していきたい。簡単ではないですよね。私は育児書を読んだり、先輩の話を聞いたり、いっぱい情報収集をするほうだと思いますが、イメージ通りにはなかなかいきません。
子どもを育てるということは、自分を成長させてもらうことでもあるんだなぁ、としみじみ思っています。
PROFILE 押切もえさん
モデル・文筆家。高校1年のときにスカウトされ、ティーン誌の読者モデルに。女性誌『CanCam』の専属モデルを経て、TV、ラジオなど、幅広く活躍。2013年には小説家デビューし、文筆活動も行う。私生活では2016年に結婚。現在2児の母。
取材・構成/相川由美