子どもに手を振る女性

育休明けの職場復帰や保育園がスタートするこの時期、心身に不調を感じる女性も少なくありません。働く女性にとっても4月病は注意が必要。早稲田メンタルクリニックの院長・益田裕介さんに詳しく聞きました。

復職に保育園…忙しさのピークに気をつけたい

4月になり育休が明けて職場復帰する人は、改めて仕事に慣れていく必要があります。子どもの保育園が始まり、手続きから準備などめまぐるしい環境の変化を感じている人もいるのではないでしょうか。

 

生活環境が変わったり、子どものケアが増えたりして、疲れが溜まりやすい時期に注意してほしいのが、「4月病」と言われる症状です。

 

気分の落ち込みや不安、緊張、動悸、肩こり、腹痛などの不調が現れる心の病気「適応障害」のことで、新しい環境のなかで感じるストレスが引き金となって起こります。

 

「仕事も家庭も手を抜かずにやりたい」とつい考えてしまいがちですが、あまり頑張りすぎなくてもいいんです。

 

夕食は総菜を買ったり、保育園の送り迎えやお弁当の準備の担当も夫と話し合ったりして、少しでも負担を減らす努力をしましょう。

 

上司や同僚と相談をして仕事量を調整してもらい、家庭に支障がでないように環境を整えられるとよりいいですね。

4月に妊活を始めるのは避けたほうがいい理由

4月は新しいことを始めるには区切りのいい時期であり、妊活を始める人が多く見受けられます。ただ、よく「妊活うつ」と言いますが、妊活がストレスになり体調を崩す原因になることがあります。

 

不妊治療は金銭的な負担が多く、いくらかかるかは人によってさまざまです。金額を考えるだけでも気が重くなるでしょう。

 

さらに、治療によって予定通りに動けない可能性があります。なかには職場が非協力的で理解がなく、勤務調整ができないと悩みを抱える人も。

 

また、夫が協力的でない女性は孤独を感じて妊活が精神的な負担になる人がいます。もちろん、なかなか望む結果を得られずに焦りを感じてストレスを感じる人もいるでしょう。

 

4月の慌ただしい時期に、妊活を始めると余計に体調を崩してしまう人はたくさんいます。気持ち的に春から開始する方もいるかもしれませんが、少し落ち着いたタイミングで始めてみてはいかがでしょうか。

夫が原因でさらに追い込まれる人も

夫婦関係が負担となり、4月病を悪化させるケースもあります。例えば、コロナ禍の影響でおうち時間が増え、お酒好きだった人の飲酒量がより増えました。

 

それが原因で夫がアルコール依存症になって、夫との関係性が悪化したり、DVなどで深刻なストレスを抱えたりした人もいます。

 

自分のことだけでも負担が大きい4月に、配偶者に振り回されてしまう人は多大なストレスを抱えているはずです。平和な家庭を守るために、問題をひとりで背負い込むのはとても辛いでしょう。

 

幼少期に家庭環境に恵まれなかった、実の母親との関係がよくなかった…そうした経験を持つ人は「自分の家族のことは幸せにしなきゃいけない」と特に思い込み、完璧な母親像を目指して頑張りすぎる傾向があります。

 

とはいえ、夫婦間のことは友達や両親に話しづらい悩み。医師やカウンセラーに相談して、まずは悩みを打ち明ける場所をつくるとよいでしょう。

 

そこからどうすべきなのか、アドバイスを聞きながら解決の糸口を探しつつ、自分自身のモヤモヤとした感情をスッキリさせましょう。

 

PROFILE 益田裕介さん

精神科医。防衛医大卒業後、病院勤務を経て、早稲田メンタルクリニックを開業。YouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」にて精神医学に関する情報を発信している。

取材・文/廣瀬茉理