大人が抱えやすい対人関係の解決策について、臨床心理士の八木経弥さんにお話を伺いました。今回は「ママ友同士のトラブルに巻き込まれた」と悩む方の相談にお答えします。 

【Q】小学校のママたちの間に挟まれ…

同じ小学校のママ友のいざこざに巻き込まれてしまいました。ママ同士のマウンティング合戦がきっかけで、双方の関係に完全にひびが入り、以後、あからさまに無視し合っています。

 

私は両方とつかず離れずの関係を保っていますが、参観日やPTAなどの学校のイベントや習い事先で運悪く鉢合わせることも。当人同士の交流はないですが、同じLINEグループでやりとりもあり、周りも何かと気をつかっています。

 

卒業までこんな感じだと思うと気が滅入ります。どちらかと関わると気疲れしてしまうのですが、どうすればいいでしょうか? 

「どちらの悪口も言わない」鉄板ルールを守る術

ママ友同士の深刻なトラブル、見ているだけでヒヤヒヤしますね。両方から愚痴を聞かされると誰だって嫌な気分になります。

 

相談者さんは、「両方とつかず離れずの関係」とのこと。心理士の立場でアドバイスすると、今のポジションをキープし続けたいなら、「どちらの悪口も言わない」という鉄板ルールを守り続けたほうがいいと思います。

 

もし愚痴を聞かされたら、心理学の手法のひとつである、あえて同調も共感もしない、あなた(YOU)を主語にした「YOUメッセージ」を送ってください。

 

「そうなんだ。(あなたは)そういう気持ちなんだね」

「(あなたは)そういうふうに思っているんだね」

 

などと伝えます。「あなたはそういう気持ちだろうけど、私は同じ気持ちではないよ」ということを、直接的な表現ではなく、ニュアンスで伝えるのです。

 

そのうち、相手から「この人に愚痴を言っても意味がないな。つまらないな」と思い始め、「この人には言うのをやめておこう」となり、その話題をしなくなるかもしれません。

「悪口」って不思議なことに、一度言い始めると止まらなくなり、どんどんエスカレートするものです。例えば「私もそう思ってたの」と相手に同調してしまったら、相手の愚痴にも拍車が掛かって悪口合戦が激化します。後で冷静になって「言いすぎたな」と後悔することも多いもの。

 

万が一両者が仲直りしたとき、あなたが調子を合わせて口走った悪口を相手に暴露されたら最悪な事態になりかねません。小学校生活は6年と長く、そのまま同じ中学校に進む可能性もあります。長い目で考えると、一定の距離を置いて「同調も共感もしない」が得策です。

モヤモヤは「見える化」でスッキリする

愚痴を聞かされるたびにきちんと受け止めていたら精神的にも参ってしまうのは当然ですが、もし、両者から特に愚痴は聞かされていないけれど、この冷戦状態に挟まれた関係に疲れてしまっている場合は、別の視点からこの問題を捉えてみる必要があると思います。

 

それは、相談者の方の共感力が高すぎて、気をつかいすぎている可能性があるということです。

 

「実はそんなに気に病むことではない」ということを認識するために、共感力が高い人へのカウンセリングでよく使う手法をお伝えします。

 

それは、自分の立場を改めて紙に書き出して「人間関係を見える化する」という方法です。

 

例えば、Aさん、Bさんと「私」の位置を客観的に考えて紙に書いてみてください。何か見えてくるものがありませんか?それは、「私」とAさんBさんの間に矢印は発生しないという事実です。

 

つまり、この問題は、自分には関係が薄いことということがわかります。見える化してみると、大した問題ではないことがはっきりし、けっこう気持ちがスッキリしてきませんか。「見える化」は自分を客観的に見ることができます。人間関係でもやもやを感じたらぜひ試してみてくださいね。

 

PROFILE 八木経弥さん 

八木経弥先生
やぎ・えみ。臨床心理士/公認心理師。心療内科や児童相談所、スクールカウンセラーなどの勤務経験のもと、開業カウンセラーとしても活動中。仕事では心理学を活用した育児の方法などを伝えている。2人の娘の母。

取材・文/大楽眞衣子