ママになった女性は、妊娠・出産を境に生活環境だけでなくホルモンバランスも大きく変わります。女性の5人に1人は一生のうち1度はうつ状態を経験するといわれますが、出産後は特に発症しやすい時期と言えるのです。今回の記事では、「マタニティブルー」と「産後うつ」との違いや、「もしかして?」と思った時にやるべきこと、出産までにできる対策などをお伝えします。ぜひご夫婦で読んでみて下さいね。
マタニティブルーと産後うつの症状はどう違う?
赤ちゃんが生まれた直後は生活リズムややることが何もかも変わりバタバタと時間が過ぎていきますが、授乳中や赤ちゃんが寝た時などふと静かな瞬間が訪れると、突然泣きたくなったり、わけもなく不安な気持ちになったりした経験…ありませんか? それが「マタニティブルー」と呼ばれるものであれば、おそらく数日でおさまり、気にすることはありませんが、「産後うつ」の場合は対処が必要となってきます。
まずはこの二つの違いを見ていきましょう。
『日本産科婦人科学会』では、マタニティブルー(マタニティブルーズともいいます)は、
としています。 ポイントは、「赤ちゃんが生まれて3日目などの比較的早い時期に症状が出る」「数日で症状が消失する」ことですね。
対して産後うつの症状としては、
となっています。 表れる症状は、 「いつもなら笑えるようなことで笑えない」 「赤ちゃんがかわいく思えない」 「うまくいかないと母親失格だと自分を責めてしまう」 「はっきりした理由もなく不安、怖い、悲しい」 「自分が不幸に思えて泣けてくる」 といったもの。 ママが感じる症状は、マタニティブルーと産後うつで大きく変わらないようです。 では、違いはどこにあるのでしょうか?
退院後2週間目に要注意!おかしいと思ったらすぐ相談
マタニティブルーと産後うつの最大の違いは、 「いつ出るか」 「どのくらい続くか」 という“期間”にあるといえそうです。
そして、そのカギとされるのが「産後2週間」。 産後一週間ほどで退院し、家に戻って何日か経った頃に「おかしいかも…」と感じたり、マタニティブルーだと思っていたものがこの時期までずっと続いているといった場合は、産後うつの可能性も考えなければいけません。
都内や地方都市の産院50件について調べてみたところ、産後の検診時期を「1か月」としている産院は2件だけで、「電話」や「希望者のみ」も含めると、9割以上の産院で2週間検診を行っていました。
また、自治体から自宅へ保健師さんが訪問して相談にのる「新生児訪問」も、この時期に多く行われます。
赤ちゃんのことだけでなく、上記のような「不安」「イライラ」「涙が出る」といった症状があれば、この検診や訪問の時がチャンスです。近年では産院や保健師さん側でも、産後うつの対処の必要性についてしっかり認識しているので、迷わず相談してください。
出産前からできることは何?
産後うつのリスクが高いのは、次のような条件に当てはまる人とされています。
- 過去に精神科にかかったことがある
- 妊娠中にうつ病と診断された
- 妊娠や出産に対する不安が長く続く
- 夫の協力がなく夫婦関係がきわめて悪い
- シングルマザー
- 家族や友人などからサポートが受けられない状況
- 妊娠中に大きな出来事があった(病気・死別・離婚・経済的危機など)
- マタニティーブルーの症状が重い
など。
一人目を出産後に産後うつと診断された30代のKさんは、二人目を出産して退院した時に「今回は大丈夫そう」とほっとしたそうです。ところが数日後、夫に様子がおかしいと指摘されて一緒に受診したところ、再び産後うつを発症していることが分かりました。
ショックを受けましたが、早く治療を開始したのが幸いしてか、約半年で軽快したそうです。 このように、自分では気づかないこともあるので、特にリスクの高い人は、事前に周りの人に様子を見ておいてくれるよう頼んでおくのも一つの方法です。
また、日本でのマタニティブルーの報告が30%なのに対し欧米は50%~80%ですが、発症率の高いアメリカで行われた調査では、「オメガ3(DHA+EPA)」の摂取が多いほど、女性のうつの発症率は低くなる」という結果が出ています。このオメガ3は魚に多く含まれています。妊娠中は赤ちゃんの脳の形成にもオメガ3がたくさん必要なので、赤ちゃんのためとママの心の安定、両方のために魚をしっかり食べるよう心がけるといいですね。
まとめ
今回のような症状があり、もしかして「産後うつ?」と思った時に、「でも大変なのは誰でもあることだし…」「私がちゃんとできてないだけなのに…」「授乳中に治療を受けたら、薬の悪影響で赤ちゃんに悪い」などの理由でがまんしてしまった結果、産後うつが重症化したケースもあるそうです。ママが本当に調子が悪くなってしまったら、ママ自身も赤ちゃんにも上の子にも悪影響ですから、まずは産院でも保健師さんでもいいので相談することが一番大切ですね。
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