汚部屋出身ながら、モノとの向き合い方を見つめ直し、現在はすっきりと片づいた部屋で、夫、3人の子どもと快適に暮らすみやさん。

 

当初は、片づけにハマりすぎて、家族間の不和を生んでしまったこともあったそう。片づけに目覚めてから、現在の暮らしを手に入れるまでの道のりについて伺いました。

片づけに家族の時間が奪われる!?

––– かつては片づけに夢中になりすぎて、家族間の不和を招いてしまったこともあったとか。

 

みやさん:

片づけを始めた当時の私は、片づいていく爽快感から、「もう本当にモノはいらない!」と思っていたんです。それなのに、夫はこれまで通りモノを買ってくる。そこで、私がイライラしてしまうことが増えてしまいました。

 

さらには、休日に家族との時間を削ってまでメルカリの発送作業に追われたり、片づけに夢中になってしまって。今思うと少し病的だったかもしれないです。そんな私を見て、ついに夫に「ちょっといい加減にしなさい」と言われてしまいました。

 

家は家族みんなで過ごす場所なので、家族の足並みが揃わないと暮らしにくい場所になってしまいますよね。

 

夫のひと言で、家族が心地よく暮らすバランスを考えるようになり、片づけるのもほどほどにしようと意識するようになりました。

 

夫が私に歩み寄ってくれる部分もあり、3年目にしてようやく家族みんなが心地よく暮らせるバランスが取れてきたように思います。最近は、週末に家族全員で一緒にイベント感覚で片づけをするなど、片づけと家族の時間を上手に両立できています。

片づいた部屋
現在は家族が心地よく過ごせる部屋に

片づけが子育ての不安も解消してくれた

––– 汚部屋から脱出してどんなことがよかったと思いますか?

 

みやさん:

片づけができるようになるまでは、モノを買うことでしかストレスは発散できないと思い込んでいました。今はモノを買う以外の手段で、自分を満たすことができるようになったと思います。

 

整った部屋でゆっくりコーヒーを飲んだり、家族と過ごす何げない時間が、自分にとって一番大切なんだと気づき、それだけで心が満たされるようになりましたね。

コーヒー
片づいた部屋でコーヒーを飲むのが至福の時間

もう一つ大きかったのは、物事に優先順位をつけられるようになったこと。

 

以前は、子どもが3人もいて、今の収入でやっていけるのかな?など、自分の人生に漠然とした不安がありました。でも今は、子どもの教育費にお金をかけたいから他の出費は抑えようなど、優先順位をつけてやりくりできるようになったんです。「どんなときもなんとかなる」と自信が持てるようになりました。

 

––– 前向きな変化ですね!ご家族には何か変化はありましたか?

 

みやさん:

最初こそ衝突もしましたが、今では夫もモノが少ないと暮らしやすいねと言ってくれるようになりました。何かひとつ買ったら、何かひとつ手放すというのも忠実に守ってくれて。夫婦で一緒に暮らしを作っているという実感が嬉しいですね。

コーヒーとケーキ
片づけへの向き合い方も夫婦で一致してきた

子どもたちも、例えば新しいおもちゃを買ったら今持っているおもちゃは人に譲ったりと、モノを手放すことが上手になりました。

 

––– 急に買ってもらえなくなって、お子さんの反発はありませんでしたか?

 

みやさん:

モノを買わない暮らしをはじめて最初の一年は、だいぶ反発されました。実際「お母さんが急におまけつきのファーストフードを買ってくれなくなった!」と言っていましたし、子どもながらに戸惑っていましたね。

 

それでもだんだん慣れてきて、今では「たくさん買えないからどれを買う?」と聞くと、「おまけより絵本がいい」「おもちゃを買うより習いごとがしたい」など、子どもなりに優先順位をつけて伝えてくれます。

物事に優先順位をつけることが生きる力に

––– お子さんたちは物事に優先順位をつけることが習慣になっていますね。生きる力にも繋がりそう。

 

みやさん:

取捨選択をしたり物事に優先順位をつけることは、今後の人生でも必ず役に立ちますよね。この生活を通して、子どもたちにそうした力を養うことができたらいいなと思います。

 

––– みやさんは子どものころ、家庭でそういった機会はなかった?

 

みやさん:

いえいえ!汚部屋出身ですが、私の部屋以外はいつもとってもきれいに片づいていました。両親ともに片づけ上手でしたね(笑)。

 

でも私はフルタイムで働いているし、時間は限られています。それこそ優先順位をつけなくちゃいけない。私の経験を私なりに、子どもに伝えていければいいですね。

片づけをする子ども
子どもには「取捨選択できる力」を養ってあげたい

––– 子育てしながら働くことは、多忙を極めます。みやさんも3児のフルタイムワーママですが、どうやって片づけに着手していきましたか?

 

みやさん:

みなさん忙しいのはよくわかります。まずはなるべく狭い範囲で手放しやすい場所からはじめるのがいいと思います。

 

クローゼットや押入れの中など、いきなり大きな場所からはじめようとするとほとんどの場合挫折してしまうので。

 

おすすめはキッチン周り。例えば、冷蔵庫の中は賞味期限があるので取捨選択をしやすく片づけやすいと思います。カトラリーケースの中だけ掃除するのもいいですね。長く使っていないスプーンやフォークを手放すだけでも、使い勝手がよくなりやる気につながります。

 

あとは、財布やカバンの中など、頻繁に使う場所から見直すのもいいと思います。いらないレシートを捨てて使っていないカードを処分して、お札の向きをきっちりそろえてみる。それだけで、不思議と前向きな気持ちになれますよ。

 

PROFILE みやさん

11歳、9歳、7歳のお子さんを育てながらフルタイムで勤務するワーママ。元汚部屋出身で、現在はモノを減らしたミニマルライフを実践中。インスタグラムを中心に、自身の経験をもとにした脱汚部屋のテクニックや、モノをもたない暮らしの提案を発信している。

取材・文/上野真依 画像提供/みや