自身のミニマルライフ(モノを持たない暮らし)をインスタグラムなどで発信しているみやさんは、実は元汚部屋住人。ひどい時期は足の踏み場がないほど部屋がモノで溢れ返っていたそうです。

 

20年にもわたる汚部屋生活から抜け出したきっかけは、「自分の片づけのウィークポイントに気づいたこと」だったそうです。みやさんに汚部屋脱出のきっかけとモノを手放すコツについて伺いました。

買うことが目的で部屋にモノがあふれていた

––– 元汚部屋住人とのことですが、いつ頃までどんな状況だったのですか?

 

みやさん:

現在は、夫と3人の子どもと5人で暮らしていますが、一番汚かったのは社会人になりたての頃。実家暮らしの社会人だったので自由に使えるお金が一気に増えて、元々好きだった服やバッグなどを手当たり次第に買うようになりました。

 

でも今思えば、あれはストレス発散でしたね。

 

社会人になって、人からどう思われているかを気にするあまり、人間関係がストレスになっていた頃。買い物すること自体が目的になっていて、その先のモノを使うということには無関心でした。

 

買っても買っても満たさず、いつも何かたりないと思っていて。なのでタグつきのまま放置していたり、買ったことを忘れてそのままだったりして。モノがどんどん増えていきましたね。

 

その後、結婚してしばらくは落ち着いていたのですが、長女を出産したあたりから物欲が復活してきて。子どもの洋服やおもちゃを買いすぎてしまい、気づいたら汚部屋の住人に戻ってしまっていました。

 

散らかった部屋
部屋が子どものものであふれていたころ

 

––– そのあいだに片づけをしようと思ったことはなかったんですか?

 

みやさん:

実は何度も片づけにトライはしていて、その都度モノを大量に処分しているんです。出産前や、産休が明けて仕事復帰をするタイミングなど、ライフスタイルの節目に大量処分をしていたので片づくには片づくのですが、なぜかまたすぐにリバウンドをしてしまって

 

モノを捨てることにそこまで抵抗があるわけではないし、片づけが嫌いなわけでもない。どちらかといえばきれい好きなほうなんです。それなのに、どうして片づいた状態がキープできないのか、自分でもそのときは理由がわからず、漠然と「私って片づけが苦手なんだな〜」と思っていましたね。

片づかない原因がわかったSNS仲間の助言

––– それなのに成功した理由はなんだったのでしょうか?

 

みやさん:

きっかけは、2019年にはじめたインスタグラムです。今年こそすっきり片づいた暮らしをしたいと一念発起して、片づけ専用のアカウントを作りました。最初は記録的な意味で捨てたモノなどを投稿していただけだったのですが、次第に同じような悩みを持つ仲間が増えていき、励まし合うことでモチベーションが上がっていきました。

 

そんな頃、インスタグラムで知り合った方から「とりあえず1か月間、服を買わないようにするといい」と勧められてやってみたことが、自分のなかで大きな転機となりました。

 

モノを買わない日々を過ごすうちに、今あるもので十分たりているということを実感したんです。「私はこれまでモノを買いすぎていたんだ」とそこでようやく気がついて。

 

片づけられないのは、苦手だからでも、時間がないからでも、捨てられないからでもない、買いすぎなんだと。片づかない原因がわかって、そこからはすごく買い物に慎重になりました。

 

モノの量が多かった頃のクローゼット

 

––– 買いすぎが片づかない原因だったんですね!

 

みやさん:

部屋が散らかっている人って、捨てるのが苦手なタイプのほかに、私のような「捨てられないわけじゃないけれど、それ以上に買ってしまうタイプ」の人も多いのではないかと思います。

 

いくら捨ててもそれ以上に買ってしまえば、なかなか片づいた状態をキープすることはできませんよね。自分が管理できる量を知り、買うことに慎重になる必要があると思います。

 

実際モノが多くても、上手に収納して快適に暮らしている人もたくさんいるので、モノが少ないことが正解というわけではありません。ただモノを管理するのが苦手な人や、忙しくて片づけに時間をかけることができない人は、少ないに越したことはないんじゃないでしょうか。

 

クローゼット
現在の片づいたクローゼットカット

40代女性が服を取捨選択する方法

––– とはいえ、なかなか捨てる作業も大変ですよね。

 

みやさん:

わかります。つい「いつか使うかも」とか「もったいない」と思ってしまうんですよね。私も、「片づける!」と気合いを入れて捨てていた感じでしたから。

 

でも、「いつか使うかも」ということは「一生使わないかも」しれないわけで。将来使うかどうかわからないモノのせいで、今の生活が不便になるのはおかしいですよね。

 

大切なのは、今本当に必要かどうか。私の場合、先のわからない将来を考えすぎずに、今を大切にすることで、だいぶ手放せるようになりました。

 

手放したい、でももったいないというとき、私は「メルカリ」を利用しています。誰かに使ってもらえてわずかでもお金になると思えば、手放す決心がついたりしますよ。

 

––– 独身時代は、服もよく買われていたそうですが、服を手放す秘訣はありますか?

 

みやさん:

今必要かどうかという視点に加え、今の自分に似合うかどうかで考えると、取捨選択がしやすくなると思います。

 

高かったとか思い出があるとか、そういうことはすべていったん忘れて客観的に考えてみる。

 

私の場合は、ちょうど40代に入って似合う服が変化してきたことも、服を見直すよいタイミングになりました。

 

年齢を重ねると、今まで似合っていたはずの服に、どこか違和感をおぼえるようになるんですよ。例えばフリルがついている服やダメージ加工のデニム、カジュアルすぎる服など。今の自分に合わないと感じるモノはすべて手放しました。

 

服を手放す基準は「今の自分に似合っているかどうか」

 

––– 手元に残した服はどんなものだったのでしょうか。

 

みやさん:

ズバリ「子どもの授業参観に行ける服」です。授業参観じゃなくても、急に学校に呼び出されたりしたとき、この服で先生や父兄に会うのは恥ずかしいかな?と思うものは、極力持たないようにしています。

 

骨格診断やパーソナルカラー診断を受けて、自分に似合う服が客観的にわかるようになったことも、服の取捨選択にとても役に立っています。

 

診断は、個人の専門スキルを売り買いするネットサービスを利用しました。たくさんの写真を送って診断してもらうだけなので、対面で行うよりも気軽にできます。私の場合、診断料は2万円ほどでした。服選びの基準ができ、暮らしやすくなったので、やってよかったと思いますね。

 

PROFILE みやさん

11歳、9歳、7歳のお子さんを育てながらフルタイムで勤務するワーママ。元汚部屋出身で、現在はモノを減らしたミニマルライフを実践中。インスタグラムを中心に、自身の経験をもとにした脱汚部屋のテクニックや、モノをもたない暮らしの提案を発信している。

取材・文/上野真依 画像提供/みや