女性が抱える健康課題を解決する新たなサービスやテクノロジーを指す「フェムテック(Femtech)」。ここ数年で関連商品が続々登場し、市場を賑わせています。
とくに注目が集まっているのは、吸水性に優れた「次世代サニタリーショーツ」。さまざまなブランドが工夫を凝らした商品を開発していますが、実際のところどれくらいの人が利用し、その暮らしにどんな効果をもたらしているのでしょうか?実際に使っている女性のリアルボイスからわかったことは──。
<お話を聞いたのは以下の2名>
- 恵子さん:45歳/14歳と11歳の女の子の母。「生理の期間が快適になる、いいものがあったら使いたい」という感覚で吸水ショーツを導入。性教育などはあまり意識してこなかった。
- 杏さん:35歳/11歳の女の子、6歳の男の子の母。子どもたちに性教育を独自に行ってきたことをきっかけに、フェムテックにも関心をもつように。
「生理の日に安眠できるようになった」
吸水サニタリーショーツと聞いて、まず思い浮かぶ疑問は「本当にきちんと吸水されるのか?」という点ではないでしょうか。編集部で実施したアンケートでも、多くの人が挙げていた疑問でした。特に経血量が多い人は「ナプキンなし」という状態に強い抵抗感があるようです。
実際に使用しているというおふたりも、最初は半信半疑だったといいます。早くからフェムテックに高い関心を示していた杏さんも、使う前は「布ナプキンがショーツタイプになった感じなのかな」と思っていたそう。
実際に使った感想を伺ったところ、恵子さんは、普段タンポンを使用しているため、「経血量が多い2日目は少しベタつく感じがした」と話します。ただ、それ以降の日は想像以上の吸収力で、快適に使えたそうです。
いっぽうの杏さんも「布ナプキンより扱いやすく、ズレを気にする必要がないので動きやすい!」と高評価。夜用ナプキンはごわつくうえ、肌が弱いので荒れてしまうことも多かったため、これまでいろいろな製品を試してきた杏さん。「吸水サニタリーショーツを使うことで生理の日に安眠できるようになりました」と、睡眠の質にまで効果があったとコメントしていました。
使い続けていくうちに感じた意外なメリット
恵子さんと杏さんが感じている「吸水サニタリーショーツのメリット」として、一致していたのが「ゴミが出ない」「ナプキンを大量に買わなくても済む」というエコ面、経済面のポイントでした。
「とくに旅行時に便利なのがいい!」と恵子さん。「旅先だと、どこでもナプキンが買えるわけじゃなくて気が気じゃないですよね。そんなときにもとても重宝すると思います」
杏さんからは「目上の方や気を使う必要がある相手のお宅に訪問する際、生理中だった場合に使用済みのナプキンをどうしようと困った経験があります。そういった状況でも気がねなく過ごせるのは嬉しい」と、意外なメリットの指摘もありました。
デメリットとして挙がったのは「使った後の洗浄方法」について。「そのうち慣れますが、それまでは手間に感じるかもしれません。とはいえ、予洗いしてすすいだあとは、洗濯機で洗えるのは助かります」と杏さん。
加えて、吸水サニタリーショーツの価格はまだまだお高め。5000円前後の商品が主流です。ただ、最近はGUやユニクロなどが参入して2000円前後の商品も登場しており、価格帯は2000〜7000円と幅広くなってきています。
「価格帯はいろいろありますが、初期費用に多少かかっても何年も使うことを考えれば、コスパは良いと思います。2000円台のものも試してみる価値ありだと思いますよ」と杏さん。
恵子さんは「1枚あると便利なので、まず試しに使ってみて、自分に合うかどうかを見極めるといいかもしれません。1枚買った人には割引などのメリットがあるともっといいですよね」と話していました。
「思春期を迎えるわが子に勧めたい?」の質問に答えは
11歳女児のお子さんをもつ恵子さんと杏さんに「お子さんにも使わせたいですか?」と聞いてみたところ、ママらしい答えが。
杏さんは「試したのはもともと娘のためでもあったんです。自分が使用して安心度を確認してから娘に合うものを選びたいと思っています」とのこと。さらに、「ポーチを持ってトイレに行ったり、周りの目を気にしたり…といったストレスをなくしてあげたい」と、これから迎えるであろう思春期についても配慮しているようです。
いっぽうの恵子さんは、すでにお子さんにも吸水ショーツを購入して渡しているそう。現状は経血量が少なめのため、今のところ出番はないと言いますが、「いざというときにあると安心ですね」と話します。
どちらも「自分が試してからよかったら娘にも使わせたい」というのが本音のよう。ただ、思春期の女の子への心と体のケアについて選択肢が少なかったこれまでと違って、ストレスを減らすポイントになる可能性は多分にあるでしょう。吸水ショーツは、幅広い年齢層の女性の暮らしを快適にする大きな味方になると言えそうです。
取材・文/久保直子 イラスト/pum