花粉シーズンを乗りきるには症状に関係なく、花粉を「浴びない、触れない、体に入れない」ことが大切です。出かけるなら何時頃がベスト?服についた花粉を払うためのコツは?身近な花粉症対策のポイントを、ハピコワクリニック五反田院長の岸本久美子先生にうかがいました。
「洋服」によっても花粉の付着は変わる
── 花粉症がつらい方にとって、この時期の外出は短時間でも気が重いもの。なるべく症状を悪化させないように外出するコツはありますか?
岸本先生:
もし外出する時間が選べるならば、午前中に出かけるのがおすすめ。花粉の飛散量は時間帯によって異なるからです。地域差はありますが、スギ花粉の場合、昼前後と日没後に多くなる傾向があります。
また、次のような条件の日は花粉が飛びやすいので要注意です。
- 気温が高く、晴天の日
- 風が強く、空気が乾燥している日
- 雨上がりの翌日
- 気温の高い日が2〜3日続いた後
── 気象情報や花粉情報をチェックして、外出の予定を立てるのも良さそうですね。
岸本先生:
服装によって、花粉の付きやすさも変わってきます。
ナイロンのようなツルツルした素材のアウターで、レインコートのように体をスッポリと覆うのが理想ですね。花粉が付きにくく、付いたとしても簡単に払い落とせて扱いやすいです。
逆にウールやボアなどの毛羽立った素材は、生地の中に花粉が入り込みがちなので避けたほうが無難です。
また、静電気が発生すると花粉が付きやすいので、静電気を抑制するスプレーをお出かけ前にかけておくのも有効ですね。
── アウター以外のアイテムはいかがでしょうか?
岸本先生:
つばの広い帽子やマフラー(ストール)、マスクや眼鏡を身につけて、花粉を肌に触れないようにカバーします。
髪の毛には花粉が付きやすいので、表面積を少なくする工夫を。ロングヘアの方は、髪をお団子のようにコンパクトにまとめるといいでしょう。
帰ったらまず確認!リビングに入る前の「作法」
── 帰宅したら、手洗いとうがいで花粉を落とすことが大切ですね。
岸本先生:
その前に、全身に付着した花粉を手で払いましょう。コートは脱いで背中の部分も払い落とします。
叩くと花粉が繊維の奥に入り込んでしまうので、表面をサッとなでるように払うのがコツです。
また、必ず玄関のドアを閉めた状態で、なるべく室内に持ち込まない努力をしましょう。
ペットを飼っている方は、意外と盲点になるのが散歩帰りのペットのからだ。毛にしっかりと花粉が付着しているので忘れずに払ってください。
それから手洗いとうがいをします。可能ならば、お風呂に直行して花粉を洗い流すのがベストですが、難しければ洗顔だけはしてください。
とくにマスクや眼鏡でカバーしきれない、“おでこや目の周り”はしっかり洗い流しましょう。
「加湿器」が花粉対策として役立つ訳
── 室内に花粉を持ち込まないために、家の中ではどんなケアをするのが良いでしょうか?
岸本先生:
やはりこまめに掃除をすることが肝心ですね。どんなに防いでいるつもりでも、室内にはかなりの花粉が侵入しています。
ただし掃除機をかけると床に落ちた花粉が舞い上がってしまうため、雑巾やフロアワイパーを使った拭き掃除のほうが効果的です。
その他には、照明の傘の裏や窓の枠など、お部屋のホコリが溜まりやすい場所を重点的に拭きましょう。
カーテンには大量の花粉が付いているので洗うのも良いとされています。
── カーテンを洗うのはなかなか大変ですが、レースカーテンを閉めて換気をする方も多いはず。レースカーテンだけでも洗ってみる価値は十分にありそうですね。
岸本先生:
また、室内が乾燥していないかも注意してみてください。空気が乾燥すると、花粉が舞いやすいだけでなく、のどや鼻の粘膜のバリア機能が低下して、風邪や感染症を引き起こす原因にもなります。
加湿器などを上手に活用して、40〜60%の湿度を保つように心がけてください。
…
目には見えないけれど、確実に室内にも入り込んでいるやっかいな花粉。侵入を最小限にとどめてつらい花粉シーズンを乗りきれるよう、積極的に生活習慣にとりいれてみてはいかがでしょうか。
PROFILE 岸本久美子先生
取材・文/大浦綾子