3月を迎え、本格化してきた “花粉症”シーズン。今年はオミクロン株の流行で、「注意すべきポイントがある」というのは、ハピコワクリニック五反田院長の岸本久美子先生。2022年版・花粉症対策についてうかがいました。
花粉症?オミクロン株?似ている症状の見分け方
── いよいよ花粉のピークを迎える時期になります。今年の花粉症の傾向はどうなりそうでしょうか?
岸本先生:
今年の花粉の飛散量は例年通りとされていますが、これは昨年比でみると約1.5倍の量という予測です。
昨年は量が少なかったうえに、新型コロナウイルスの影響で外出を控えたり、マスク着用も習慣化されていたので、軽い症状の方も多かったです。
それに比べると、今年はつらく感じるかもしれませんね。また、今年は新たに悩ましい問題があります。
── 悩ましい問題。それはいったいなんですか?
岸本先生:
いま流行しているオミクロン株と、花粉症の症状が似ていることです。
鼻水、鼻づまり、のどの痛み、倦怠感はどちらにも該当する症状です。花粉症かと思っていたら、じつはオミクロン株の感染で、気づかない間に感染を広げてしまうケースも心配されます。
くしゃみ1回で飛沫する量は、咳の10倍以上もありますから。
── 症状を感じたら、どのように対処するのが良いのでしょうか?オミクロン株か、花粉症かを見分ける方法はありますか?
岸本先生:
発熱がある場合は、オミクロン株を疑いましょう。一方で、目のかゆみは花粉症ならではの症状です。
とはいえ、オミクロン株の感染者にも発熱のない方もいるなど、医師でも判別が難しいのが実情です。やはり必要に応じて検査を受けるのが賢明です。
判断に困らないためにも、花粉症の症状が毎年ある方は、早めの受診や市販薬の服用をして対策をとるのが良いですね。
花粉症の症状が抑えられていれば、感染した際の異変にも気づけるわけですから。
換気しなきゃダメ?コロナ禍での花粉症対策
── まだまだ新型コロナウイルスの感染が心配されると思います。感染対策をしながら花粉症対策をするにあたり、気をつけるポイントはありますか?
岸本先生:
まず注意したいのは、目や鼻などのかゆみの対処です。もしウイルスがついた手で目や鼻をこすってしまうと、感染するリスクもあります。
涙に近い成分の点眼薬を使ったり、どうしてもかゆいときは、水で濡らしたタオルや保冷剤を包んだタオルで冷やすと、かゆみがやわらぎます。
── 侵入を防ぐ点で、換気はいかがでしょうか?コロナの感染予防としては室内の換気が効果的とされていますが、花粉が室内に侵入するのも悩ましいです。
岸本先生:
たしかにいまは常時換気が必要で、花粉対策との両立が難しいですね。しかし、優先度としては感染予防のほうが高いでしょう。
花粉は飛散量が時間帯で変動しますので、せめて飛散量の少ない時間帯に換気をするのも手です。天候や風の強さにもよりますが、19時〜翌朝10時頃が少ないとされています。
── 起床時と帰宅後の換気を習慣化するのも良さそうですね。換気はどのように行うのが効果的でしょうか?
岸本先生:
10cmほど窓を明けて、約20〜30分で室内の空気が一巡します。窓を2箇所明けておくと空気が通りやすいですね。
レースカーテンをしておけば、花粉の侵入は大幅に減らせます。
室内に侵入した花粉は、窓を閉めている間も空気中を舞っています。空気清浄機は24時間運転にしておけば効率的にキャッチしてくれるでしょう。フィルター掃除もこまめに行うのがポイントです。
── マスクの取り扱いでポイントはありますか?
岸本先生:
花粉はマスクのプリーツなどシワのある箇所に溜まりやすいです。マスクの外側とはいえ、花粉が顔の周りに蓄積されないように、こまめにマスクを取り替えることもおすすめします。
また、新型コロナ対策と花粉症対策の両方の面から、正しく装着しているかいま一度確認を。隙間のないようにノーズフィッターを鼻の形に合わせる、鼻からあごの下までを覆う、などですね。
自分の顔の大きさに合ったサイズのマスクを選ぶことも大事です。マスクを着用して頬に隙間ができていないか、逆に小さすぎてないかなども鏡でチェックしてみましょう。
PROFILE 岸本久美子先生
取材・文/大浦綾子