気温が低いうえに、日照時間も短い冬場は、取り込んだ洗濯物がきちんと乾いているかどうか、気になる方も多いのではないでしょうか。そんな冬場の洗濯問題について、「乾かすための条件」を整えてあげるだけで解決できる、と話すのは、洗濯王子の愛称で人気の洗濯家・中村祐一さん。効率よく乾かすためのコツとは!?

目次

冬場の洗濯物が乾きにくい理由

どうして冬場の洗濯物は乾きにくいのでしょうか?そもそも、洗濯物を乾かすために大切なのは、洗濯で衣類が含んだ「水分」を空気中にどう移動させるか?です。

 

ところが、空気中に含める水分量は気温によって異なります。気温が低い冬場は、どうしても空気中に含める水分量が少なく、乾きにくい。

 

反対に、夏場は気温が高く、空気中に含める水分量が多くなるので乾きやすくなります。

中村さんは外の環境に左右されない部屋干し派(写真提供/中村祐一さん)

もうひとつ、冬場の洗濯物の外干しで、よく寄せられるお悩みは、「洗濯物が乾いているかどうかわかりにくい」という問題。

 

明らかに湿っていてべちゃべちゃする場合は乾いていませんが、気温が低い場合は、洗濯物が冷たくてわかりにくいこともあります。

 

そんなときは、いったん取り込んで、30分〜1時間後に再度触ってみましょう。ここで冷たいと感じるようなら、水分が残っていて乾ききっていない可能性が高いといえます。

 

とはいえ、ほぼ乾いた洗濯物なら気温が20度前後の室内に取り込んだ後、2~3時間もすれば乾くでしょう。

 

そのまま置いておいてもいいですし、すぐに着るタイミングが来る服なら湿った部分を外側にして畳んでしまってもいいと思います。

洗濯物を早く乾かすための4つのコツ

洗濯物を乾かすためには脱水以外に、温度・湿度・空気の循環を整えてあげましょう。ポイントを押さえた工夫によって、グッと乾きやすくなります。

「追い脱水」で効果的に水分を飛ばす

早く乾かすには脱水も重要です。ただし、脱水の時間を伸ばすと薄いものはシワが増えてしまいます。なので、厚手の衣類だけ洗濯槽に残して「追い脱水」すると、シワも少なく乾きやすくなります。

脱水は1分くらいまでで、急激に衣類が含む水分量が減りますが、それ以上は絞れる量が減っていき、5分以上は絞っても衣類が含む水分量にそれほど変化がなくなります。

 

一気に脱水しようと、最初の洗濯機の設定を5分にして絞るのではなく、まずは2〜3分の設定で脱水。

 

そのあと、いったんすべての衣類を取り出して、乾きにくいトレーナーやパーカー、ズボンなど、厚手の衣類だけを洗濯機に戻し、追加でもう2〜3分脱水するようにするといいですね。

 

ひと手間かかるように見えますが、乾きにくいものだけを効率よく絞れるのでおすすめです。

暖かくて風通しのよい場所に干す

洗濯物を早く乾かすためには、できるだけ気温の高い場所を選ぶことも重要です。

 

たとえば、外干しから部屋干しに変える、暖房の効いた室内に干すなど、より暖かい場所に干すと、乾きやすくなります。

 

洗濯物が干せそうな場所で、いちばん暖かい場所はどこか?探してみるのもいいですね。

 

屋外なら、できるだけ太陽光で気温が高くなる場所、風通しのよい場所に干すのがおすすめ。時間も比較的気温の高い時間帯を選びましょう。

 

地域によりますが、冬場なら10時〜14時頃に干し、冷え込む前に取り込むのがいいのではないでしょうか。

湿度は天敵!空気を動かして循環させる

また、洗濯物をスムーズに乾かすには、湿度も低い方がいいですね。

 

温度が高くても閉めきった室内など、湿気の逃げ場がない場所では湿度が高くなり乾きが遅くなります。換気が難しい環境なら、除湿機を使う手もあります。

 

空気を動かすために、扇風機やサーキュレーターなどを使って、物理的に空気を動かしてあげるのもいいですね。洗濯物は上から乾いていくので、風の向きは下から上にするのがポイントです。

洗濯物が空気に触れる面積を増やす

洗濯物そのものが空気にしっかり触れるようにするのも、早く乾かしたいときのコツのひとつ。空気に触れる表面積が小さいと、乾きにくいためです。

 

たとえば、シャツの襟元や袖口など、重なっている部分は内側が乾きにくいので、重なりをなくすように、ボタンを外して広げてあげましょう。

 

なかなか乾きにくい厚手のズボンは、足を入れる部分をできるだけ筒状にして空洞を作ってあげる。ポケットがついている場合は、袋の部分が外側になるように裏返して干しておくと乾きやすくなります。

 

洗濯物の内側にも空気が通るようにするには、ハンガーを使って干すのも有効です。太いものに変えたり、2本のハンガーを使って、内側を広げるように干すのもいいですね。

中村さんがYouTubeで公開している「表面積を増やす干し方」の動画

自宅の環境はさまざま。最適な方法を選択しよう

皆さん、よく「洗濯物をどこに干すといいですか?」と質問されますが、ご自宅の環境はそれぞれ異なるため、リビングに干しましょうとか、お風呂場がいいですよとか、ひと言でお答えするのは難しいんです。

 

しかしながら、どんな環境であっても、乾くための条件は一緒です。1つだけでもいいので、乾くための条件を整える。それが、冬場の洗濯物をしっかり乾かすための近道です。

 

PROFILE 中村祐一

洗濯家・愛称「洗濯王子」。1984年、長野県伊那市生まれ。洗濯から考える「よりよい暮らし」の提案をはじめ、「衣」文化の革新にも積極的に取り組む。各種メディアにも多数出演。

取材・構成/大熊 智子