カリスマ的な人気を誇ったモデル時代を経て、現在は執筆業やプロデュース業など幅広く活躍している押切もえさん。私生活では、3歳長男、0歳長女の2児の母です。

 

年齢を重ねると、これまで似合っていた服が着こなせなくなり、おしゃれを楽しめなくなることも。かつて「おばあちゃんになってもミニスカートをはきたい!」と公言していた押切さんの場合は…?

服は“年相応”じゃないと恥ずかしい時代

雑誌のインタビューで、「おばあちゃんになっても、ミニスカをはきたい」と言っていたのは20代のころです。年齢にとらわれず、好きなものを自由に着こなす女性は素敵だと思っていました。

 

でもインタビューで使われたということは、裏を返せば当時は「年配女性のミニスカート」が、好奇の目で見られる時代だったということ。

ミニスカート姿の押切もえさん
ミニスカート姿の押切もえさん

私自身も、30代に入るころ仕事関係の方から、「もうちょっと落ち着いた格好をしたら?」と言われたことがあります。「私の格好って恥ずかしいんだ…」とヘコみ、それからしばらくは同世代ママ向け雑誌のファッションを参考にしていました。

 

色で言えば黒やグレー、紺やカーキを中心にして、パーティーのときもシンプルなシルク素材のワンピース、もちろん色は落ち着いた紺…といった感じで。

 

そうやってその人ひとりの意見に合わせてしまいましたが、今思えば、あまり似合っていなかったし、印象にも残らないファッションでしたね。それよりも、顔映りのいい色や、もっと華やかで気分の上がる服を着てもよかったなと反省しています。

「私は黒じゃない」と気づくまで

そんな感じで、ファッションについては、失敗から学ぶこともありますが、私の場合親友の指摘もありがたいんです。第1子の産後、カラーリングをしていない黒髪でテレビに出たら「もえは黒じゃないから!」って突っ込まれたんですが、確かにそうかもしれない、とハッとしました。

 

今はパーソナルカラー診断や骨格診断もあるので、積極的に活用しています。私は、イエローベースの「春」だったので、自分が思っているよりも明るい色のほうが似合うみたい。それもあって、メディアに出るときは、明るい色を着るように意識しています。

 

そうやってだんだん、「年相応」と「似合う」や「好き」のバランスを考えられるようになってきましたね。

 

今はワードローブにも黒のトップスはほとんどなくて、子どもの登降園と行事用にネイビーがあるぐらいです。

何歳になっても自分らしい服を

10代のころは、ギャルファッションに憧れて渋谷の109に通いました。限られたおこづかいから買える服を選んで必死にコーディネートを考えるなかで、ファッションがくれるパワーやおもしろさに目覚めていきました。

 

それからずっと私にとってファッションは楽しいものですが、ライフスタイルの変化によって似合う服や着たい服は変化してきたと実感しています。

 

結婚して子どもが生まれてからは、行く場所や生活環境がガラッと変わったので、普段着も大きく変わりました。抱っこしても子どもがチクチク痛がらないもの、子どもが汚しても気にならないもの、自分がラクでいられるものがメインです。

 

特に公園着は動きやすさと機能性を重視していて、プチプラの服も多いですね。去年の秋に買ったユニクロのシャツワンピはパンツに合わせたり、1枚でサラッと着たり、ずっと使えるので重宝しています。

 

今でも、好きだからミニスカートははきますよ。20年前に比べたら、今は本当に好きなものを好きなように着られる時代になりました。私より年上の方のミニスカート姿も珍しくなくなってきて、ロングブーツを合わせて素敵に着こなしていらっしゃるのを見るとしびれちゃいます。

 

TPOはもちろん大事だけれど、ファッションは、その人らしさを表せる絶好のツールですよね。そのときも好きだったら、きっと私はおばあちゃんになってもミニスカートをはいているんじゃないかな。

 

PROFILE 押切もえさん

oshikirimoe

モデル・文筆家。高校1年のときにスカウトされ、ティーン誌の読者モデルに。女性誌『CanCam』の専属モデルを経て、TV、ラジオなど、幅広く活躍。2013年には小説家デビューし、文筆活動も行う。私生活では2016年に結婚。現在2児の母。

取材・構成/相川由美 画像提供/押切もえ