リモートワークを推進するNTTコミュニケーションズ。全従業員のリモートワーク実施率が8割を超え、女性の満足度が上がっているといいます。2020年7月、育休明けにリモートワークで復帰したビジネスソリューション本部・第二ビジネスソリューション部担当課長の若度絢子(わかたび・あやこ)さんにお話を伺いました。

時短勤務じゃないと、どうにもならないと思っていた

「リモートワークが始まる前は時短勤務でないと、どうにもならないと思っていました。しかし、リモートワークが大前提となる働き方に変更になったことで、最初からフルタイムで復帰できたことは大きいと思っています」

 

都内に住む若度さん。2歳半になる娘さんを育てながら、公共営業の企画部門で人事育成及び営業戦略・企画業務をおこなっています。

 

同社はリモートワークだけでなく、コアタイムなしのフレックスや分断勤務なども取り入れているため、通常は午前9時から午後5時30分の勤務ですが、若度さんは日によって、勤務時間を変更。午前8時から勤務を開始したのち、子どもの送迎や病院などを理由に分断勤務として休憩し、再び勤務を再開することもあるそうです。

 

こうした柔軟な働き方により「家庭の時間を作れるようになった」と若度さんはメリットを実感しています。

 

出社していたときは、午前8時には自宅を出なければならず、慌ただしい日々を過ごしていましたが、リモートワークにより気持ちにも余裕が。「夕飯のおかずも増えました」と語ります。

 

コアなしフレックス制のため、仕事の状況に応じて、子どもを寝かしつけてから仕事をすることもあります。

 

「上長とのコミュニケーションを密に取ることで、働き方の柔軟性も増しています。勤務時間分は残業申請も可能です」

定期的な出社がリモートでの働きやすい環境を作る

一方でこれまでとは違った課題もあるそう。

 

「育休からの復帰時、直接お会いしたことがない人とリモートで一緒に仕事をすることに。不安はありました」

 

そんなときは、担当者が出社しそうな日を見計らって出社します。

 

「リモートでは立ち話などができず、他の人の会話をヒントに新しい発想を取り入れることが難しいと感じています。また、相手の状況がわからず、今話しかけていいのか迷うことも。定期的な出社でコミュニケーションをはかり、リモートでも話がしやすい土壌を作っています」

会社が宅配用意、オンライン飲み会も

リモートワークで生じる従業員の孤独感を解消し、連帯感を維持するための工夫もあると言います。会社がお酒と料理の宅配を用意し、キックオフ会と称したオンライン飲み会も実施されています。

 

「以前は会議室をかりてキックオフ会として、自己紹介したり、出し物をしたりしていました」が、育児中の女性は参加できないことも多かったそう。しかし、オンラインで実施したキックオフ会には約100人が参加。育児中の女性も、自宅から聞くだけでも参加できることから、出席率が上がったと言います。

 

「出身県ごとに分かれて会話するなど、オンラインでも会話できるよう工夫されています。連帯感が生まれていいですね」

仕事を諦めずに済む、働き方の選択肢

こうしたリモートワークの取り組みにより、これまで低かった女性の仕事に対する満足度が男性と同じ水準にまで上がったそう。

 

若度さんも「仕事を諦めずに済みました。時短勤務だと業務時間が限られますが、リモートで分断勤務も活用できる今は、育児中もフルタイムで働ける選択肢が増えたと感じます。昇進にもチャレンジしやすい環境だと思います」と歓迎しています。

 

最近は分断勤務を取得する男性社員も増えたそう。性別やライフステージに関係なく、誰もが働きやすい環境が整備されつつあるようです。

取材・文/天野佳代子 写真提供/若度絢子さん