チームの仕事について話し合うメンバー

チーム単位の業務の場合、自分だけでは思い通りにいかないケースは多々あります。チームで仕事のPDCAをうまく回し、目標を達成するためにはどうすればいいのでしょうか。時短化・業務効率化の仕組みコンサルタントの岡村拓朗さんに聞きました。

他者からのフィードバックで無限ループを回避する

—— 自分だけでなく、チームのメンバーと協力しながら目標を達成するためには、どうすればいいのでしょうか。

 

岡村さん:

その場合、他者からのフィードバックが成功の鍵を握ります。ひとりでは気づきにくい部分をお互いが教えあっていくことが、仕事をスムーズに推し進めていきます。

 

自分だけだと、必要な改善策に気がつきにくく、無限ループに陥ってしまうケースがあると思います。

 

そういうときに、チーム内でフィードバックし合えると、目標に対して前進できるようになります。また、「支え合う関係性」が築けると、チーム内の人間関係もよくなります。

 

フィードバックする際のポイントは、出し惜しみをしないこと。きつい伝え方をする必要はありませんが、「正直に」伝えるのは大切です。そうやってお互いにコミュニケーションを取っていくと、お互いのインプット・アウトプット量が増え、より生産性が高まっていきます。

 

—— チーム内でフィードバックをしていると、内容や思考が似てしまうことがありますが、そのままでもいいのでしょうか?

 

岡村さん:

同じ組織の人間だけだと、視点が似てしまうケースはあります。そんなときは、メンバー以外の人からフィードバックを受けてみてください。きっと新たな視点が得られるはずです。

 

たとえば、社内の違うチームにアイデアをもらうのはどうでしょうか?同じ会社でも属しているチームや受け持っている仕事が違うと、考え方も変わってきます。

 

そこで得た視点は、社内メンバーに還元することが重要です。新しい視点や価値観をメンバー内に持ってこられるだけで、あなたの価値も高まるでしょう。もし、余裕があるなら、積極的に外のコミュニティにつながって、話せる範囲で相談してみるのもひとつの手ですね。

「ほめる」は生産性を高める最強のサポートテクニック

—— 自分やチームの生産性を上げたいとき、効果的な声かけはありますか?

 

岡村さん:

いちばん大切なのは、できた点をほめることです。人はどうしても、できなかったことを見がちですが、できたことを承認してあげてください。

 

そして、できたことのなかには、うまくいくコツが隠れています。そのコツを見つけて、他の仕事やチームメンバーに横展開しましょう。

 

それから、うまくいくコツを次に活かせるよう、自分の「必殺技」としてキャッチーなネーミングをつけ、メモ帳などに書きためておくのがおすすめです。名前をつけておいたほうが、記憶にも残りますからね。

 

—— 「必殺技」ですか。たとえば岡村さんには、どのような「必殺技」がありますか?

 

岡村さん:

まず「時間の寄附」です。お金の寄附って、心が豊かになりますよね。それと同じで、自分の時間を他者のために使うと、心が豊かになると思うんです。だから「時間の寄附」で、仲間やクライアントを応援する時間をつくります。すると仕事が円滑に回るようになりますよ。

 

次に「朝達」。これは「朝のうちに目標を達成してしまう」という技です。24時間のうち生産性が高いのは朝だと言われていますし、朝なら他者からのチャットやメールが入りません。より仕事に集中できるでしょう。

 

私は朝4時から仕事するようにしたら業務が円滑に進むようになったので、朝のうちにやるべきことを終わらせるようにしています。

目標未達「反省します」よりもやるべきこと

—— チームメンバーがうまくいかずに疲弊しているとき、何かできることはないでしょうか?

 

岡村さん:

感情を吐き出させてあげるといいと思います。思考や感情が頭に詰まっていると、いいアイデアが浮かばなくなってしまうからです。

 

考えていることを聞いてあげてもいいですし、チームメンバーを集めて、考えていることを紙に書く「吐き出しワーク」をやるのもいいでしょう。チーム全体が頭をクリアにすれば、生産性も高まります。

 

—— なかなか目標が達成できないチームメンバーがいるとき、どう対応したらいいのでしょうか。

 

岡村さん:

そのチームメンバーが、やるべき行動をしているのに達成していないのか、それとも行動していないだけなのかをヒアリングします。すると、ただ行動していないだけの場合が多いですね。

 

よく目標が未達だと「すみません、反省します」という方がいるのですが、反省はしなくていいんです。それよりも「次はどうしようか?」と、次に取るべき行動を一緒に考えてあげるといいでしょう。

 

人の基本的な学習パターンとして「学校」がありました。学校には先生と生徒、つまり師匠(指導者)と仲間がいて、先生から必要なことを教えてもらい、仲間同士でフィードバックや励まし合ったりしながら、学習を進めていきます。しかし大人になってからは、こうした学習環境は特にありません。

 

チームメンバーとともに目標達成していきたいなら、全員がそれぞれのPDCAを回し、あなたが先生役となってチームを導きます。そしてチームメンバーはお互いが生徒となって関わり合う。そんなプロセスを経てチーム全員がスムーズに目標達成できるよう、サポートしてみてください。

 

 

PROFILE 岡村拓朗さん

株式会社センターピン代表取締役。会社員生活で培った仕事5倍速を実現する時短化・業務効率化の仕組みでもって未来を整えるコンサルタントやセミナー講師として活躍中。著作に『自分を劇的に成長させる!PDCAノート』などがある。

監修/岡村拓朗 取材・構成/金指歩