「年始に今年の業務目標を立てたけど、すでに挫折しそう…」「私の仕事はそもそも数値目標が立てづらくて…」。そんな方にこそおすすめなのが「PDCA」だと、時短化・業務効率化の仕組みコンサルタントの岡村拓朗さんはいいます。聞いたことはある“PDCA”って、結局何でしたっけ?

目標達成には日々の「見える化」がカギになる

—— 目標達成のために「PDCAを回す」なんて言葉を聞きますが、そもそもPDCAがいまいちわかりません。

 

岡村さん:

PDCAは、計画を立て(Plan)、計画に基づいて実行し(Do)、その結果を評価して気づきを得たら(Check)、改善策を実行する(Action)を繰り返していくことで、業務改善を続けるサイクルのことです。

 

そもそも目標って、達成が難しいことだから目標になるわけです。だから「目標達成は難易度が高い」前提で、試行錯誤しながら行動していくことが求められます。そのために必要なのが、このPDCAです。

 

スキルとしてすでに「知っている」方は多いと思いますが、実際に「PDCAを回したことがある」方は少ないかもしれません。その理由は、PDCAの回し方を教えてくれる人がいないから。

 

計画を立てていざ実行しても、どうやって検証して次のアクションにつなげたらいいのか、そんな状態で目標が確実に達成できるのか…だんだんわからなくなってしまうんです。

 

—— なぜ目標達成にはPDCAが効果的なのでしょうか。

 

岡村さん:

PDCAが目標達成に効果的な理由は、目標達成までのプロセスを「見える化」しているからです。よく目標達成に向けて「数字を意識してがんばります!」という方がいますが、「意識」だけでは行動は変わりづらい。「見える化」させることが重要です。

 

そのために私は、1冊のノートを使ってPDCAを管理することをおすすめしています。例えば今日1日のPDCAを計画する場合、まず1日のスケジュールをノートに書き、「今日は2件の商談を成立させ、1件の打ち合わせを円滑に進行する」などの目標も記載します。そして1日の終わりに今日の実績と気づきを書いて、改善策を検討したら終了です。

 

日次での計画立てが難しい仕事の場合は、1週間ごとにPDCAサイクルを回してもいいでしょう。立てた計画、その計画に基づいた行動、行動した結果の検証、そして次へのアクション。

 

これらのPDCAを見える化するからこそ、意識に頼らず、目標達成までの道筋が日々確認できたり、継続できたりするんですよ。

やる気が出ない人は「ビジョン」のなさが原因かも?

—— PDCAを繰り返していく目的は、最終的には目標(ゴール)を達成するために行うことだと思いますが、このゴールには何を設定したらいいでしょうか。

 

岡村さん:

上司と決めた仕事上の目標をゴールに設定します。その際、目標設定に必要な「売上目標などの数値目標」と「達成するまでの期限」という2つが明確かどうか、再確認しておきましょう。

 

この目標を、少し背伸びしないと届かない「ストレッチ目標」にしておくと、より高い成果に到達できるはずです。

 

—— 目標を明確にしにくい場合や、そもそも数値目標にやる気が出ないときはどうしたらいいと思いますか?

 

岡村さん:

その目標を達成したら何が実現できるのか、目標達成の先にある「ビジョン」をイメージしてみてください。

 

たとえば、業務の効率化が目標に設定されたとします。でも、どんなに効率化したとしても、時短勤務のため、社内トップの営業成績を出すのは難しく、モチベーションが上がらない。

 

そんなとき、目標を達成すれば「時短社員のロールモデルになれる」というビジョンがあるとどうでしょうか。他者に対して何か役に立てるというビジョンが描けると、「業務の効率化」という目標達成のモチベーションがよりわくのではないでしょうか。

 

私も以前「チーム全体の残業時間の削減」が目標だった際、その業務効率化のために、メンバーに配布できるテンプレートをExcelでせっせと作成していました。作業自体は面倒でしたが、メンバーの業務効率化につながるならと、精力的に仕事をしていた記憶があります。

 

あなたが今取りかかっている資料作成や打ち合わせも、ビジョンの達成に必要であれば面倒ではなくなると思います。ぜひあなたにとって理想的なビジョンを描き、PDCAを回して現実を好転させていってください。

 

 

PROFILE 岡村拓朗さん

岡村拓朗さん顔写真
株式会社センターピン代表取締役。会社員生活で培った仕事5倍速を実現する時短化・業務効率化の仕組みでもって未来を整えるコンサルタントやセミナー講師として活躍中。著作に『自分を劇的に成長させる!PDCAノート』などがある。

監修/岡村拓朗 取材・文/金指歩