伝わるパワポ資料の作り方をパワポ芸人トヨマネさんが解説する本連載。スライドが完成したら、次はそれを人に説明する必要があります。第7回はプレゼンテーションについての考え方を説明します。
「ストーリー」を語ろう
プレゼンを実際に行ううえで大切な考え方を説明します。私はプレゼンをするとき、「ストーリーを語る」ことを意識しています。
もし、あなたが目の前で円周率を読み上げられたとしたら、何桁くらい覚えられるでしょう。せいぜい10〜15桁くらいではないでしょうか。
では、もし桃太郎を読み上げられたらどうでしょう。「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがおりました。ある日おじいさんは山へ…」と、かなりの長さを覚えられるはずです。
私たちは、単なる情報の羅列を覚えるのは得意ではありませんが、意味のつながりを持つ「ストーリー」なら簡単に覚えられます。
つまり、記憶に残るプレゼンをするためには、円周率のようにつまらない情報を延々と並べるのではなく、「ストーリー」を語る必要があるのです。
相手の頭のなかで「積み木のお城」を組み立てる
もうひとつのコツは、「積み木のお城」という考え方です。自分が人に何かを説明しているところを、マンガ風に想像してみてください。
自分の口から吹き出しが出て、そのなかに理路整然としたロジックを組み立てていくようなイメージではないでしょうか。
でも私は、むしろ相手の頭から吹き出しが現れ、そのなかで積み木のお城を積み上げていくようなイメージが適当ではないかと考えています。
なぜなら、プレゼンテーションの主役は聞き手であり、良い説明はつねに聞き手起点で作られるからです。
子どもで作れるような簡単な積み木を相手の頭のなかで組み立てていく。そんなイメージでプレゼンテーションを組み立てるといいのではないでしょうか。
「地図」を示す
プレゼンは、聞き手を結論という目的地に連れていく旅のようなものだと考えると、聞き手が迷子になるのを防ぐために、全体像や現在地を示す「地図」を示すことが大切です。
プレゼンの最初には、「今日話すことは、要するにこういうことです」と目次を見せるなどして全体像を示す。途中で「今からこの部分を話します」と、現在地を確認する。
そしてプレゼンの最後には「今日お話ししたのはこういうことです」と積み上げてきたものを一緒におさらいする。
このような「地図」を、スライドや言葉で示すことで、聞き手は安心してプレゼンの内容に集中できるようになります。
「桃太郎パワポ」(下の画像)でも、最初に全体像を示したり、現在地を示したりといった工夫をしていました。ぜひ皆さんも試してみてください。
PROFILE 豊間根青地さん
パワポ芸人。1994年東京生まれ。飲料メーカーで通販事業のCRMや広告などを担当する傍ら、趣味のPowerPointで作成したスライドがTwitterで大きな反響を呼ぶ。アカウント(@toyomane)は1年間で5万人以上のフォロワーを集める。「くだらないけど、ためになる」をモットーに、スライド作成のノウハウや、あまり役立たないネタ画像などを各種SNSで発信中。
取材・文/出雲井亨 画像提供/PIXTA 資料提供/豊間根青地