「熱が出た」「だるい」と“病気アピール”をしてくる夫は一定数いるでしょう。自分だけが大変な思いをしていると訴えたいのか、妻に優しくしてほしいのか。そんな夫のアピールを一刀両断する妻がいます。
39度で寝こむ妻に夫が発した「衝撃のひと言」
結婚して12年、10歳の長男と8歳の長女を共働きで育てているアキさん(41歳・仮名=以下同)は、「とにかく毎日が勝負という日々。家事に育児に仕事に、つねにフルパワーでないとやっていけません」と、力強く笑う元気なママです。
「夫とは大学の同級生で、卒業して5年後に再会。2年つきあって結婚しました。悪い人ではないけど、親から溺愛されて育ったみたいで、いつも『僕を見て』アピールが強いんです。小さな子どもたちに嫉妬していじけたこともあったくらい(笑)。
いちばん腹が立ったのは、私がダウンしたときのこと。39度の熱を出しながら、子どもたちにはなんとかご飯を食べさせ、その後、寝込んでいたら帰宅した夫が『ねえ、僕のご飯は?』と言ったんです。この恨み、晴らさでおくべきかと真剣に思いました」
大人なんだから、自分のことは自分でしてほしいといつも言っているヤスコさん。夫は自分がまるで長男でもあるかのように妻を「ママ代わり」にする様子です。いつか思い知らせてやる、とヤスコさんは考えていました。
「子どもを育てるのと同様、夫も育てていかなければいけないんでしょうね。ずっと親と同居していてひとり暮らしをしたことが夫は、生活能力がない。家事ができないというのは、生活能力が身についていないわけですから。
それはダメなんですよ。だから私は男女関係なく、子どもには小さいときから家事をやらせてきました。夫にも極力、やらせようとしたんですが、ずるくてやってくれなくて。面倒だから自分でやってしまおう、と思ったのもいけなかったと思っています」
グダグダと文句を言っていた夫が一変したできごと
2年半ほど前のこと。「丈夫だけが取り柄」と豪語している夫が、風邪で寝込んでしまいました。
「だけど、たいした熱でもないし、インフルエンザでもない。それなのに夫は『つらい、体が痛い』と大騒ぎ。私は朝から会議で早く出かけなければならなかったのに、昼はおかゆがいい、だのグダグダ言っている。
さすがに腹が立って、『あのさあ、私が39度の熱でうなされていたとき、あなたは“オレのご飯は?”って言ったんだよ、覚えてる?』と言いました。夫は『覚えてないけど、ごめん』と。今言わなければ何も変わらないと思い、『熱、たいしたことないよね。今日一日、会社を休むのなら、マスクして夕飯作っておいてね』と言い放って出かけました。
帰ったら、夫はエプロンをしてキッチンに立っていた。子どもたちと一緒にご飯を炊き、お味噌汁を作って、肉と野菜を炒めていたんです。『子どもは何でも知ってるなぁ』と感激していたので、『家事ができなくて困るのは自分だからね』と言ったら、『本当にそうだよなあ』と、夫はしみじみ言っていました…」
それ以来、夫は少し変わったそうです。週末は料理本を眺めながらチャレンジすることも増えてきました。いつも子どもたちが、寄り添って教えているそうです。
「夫の家事を増やして自分が楽をしたいわけではありません。家族の一員として、家の中のことができるのは当たり前だと思ってほしい。ひとりだけに負担がかかるのはよくないと思っています。結婚して12年たって、ようやく夫も少しわかってくれたみたい」
夫の性格にもよるでしょうが、ガツンと言えば心に響くケースもあるかもしれません。「どうせ言ってもダメだから」と諦める前に、家事・育児の負担について、腹を割って話してみたほうがいい。ヤスコさんは大きな笑顔でそう言います。