乾いた洗濯物を片づけているとき、洗いたてのTシャツに腕を通したとき、ふと生乾きの雑巾のようなイヤな臭いがする…。しっかり洗って乾かしているはずなのにどうして?と、洗濯物の臭いに悩んでいる人は少なくないようです。
洗濯物を確認してみても、目に見える汚れはないのに、どうして臭いが出てきてしまうのか?洗濯王子の愛称で人気の洗濯家中村祐一さんに、洗濯物の気になる臭いの解消法を教えてもらいました。
洗濯物のイヤな臭い…柔軟剤は解決にならない!?
洗濯物の臭いの元は、ずばり落としきれていない汚れです。CMでよく聞く、「部屋干し臭」のほとんどの原因といってもいいでしょう。
洗濯物の臭い対策として、柔軟剤で香りをつける方が多いですが、実は、根本的な解決にはならないんです。
例えるなら、トイレを使った後、流さないまま芳香剤を置いているようなもの。これではせっかくの芳香剤も本来の効果を発揮できませんよね。
いくらよい香りをつけても、臭いの原因である「洗い残し」と「汚れ」を何とかしなければ、根本的な解決にはなりません。そもそもきちんと汚れが取り除けていれば芳香剤そのものが必要がない場合も多いです。
もちろん、柔軟剤にもそれぞれの効能・役割があります。
ただし、柔軟剤を衣類に香りをつけるものとして使っている場合は、要注意。下手をするとさらに悪臭が発生するという悪循環に陥ってしまうこともあります。
部屋干し臭対策にも!洗濯物の「イヤな臭い」を防ぐ4つのポイント
イヤな臭いを防ぐためには、臭いだけに注目するのではなく、しっかり洗うことに目を向けましょう。
衣類の量・水の量・洗剤量の「3つの量」のバランスを見直す
まずは、洗濯槽の中に入れる衣類の量と、水の量のバランスを見直しましょう。この時点で、洗濯物の量に対して水の量が少ない場合は、汚れが落ちません。
水量を増やし、その増やした水量に合わせた洗剤の規定量をパッケージなどで確認して入れましょう。
これがしっかりできている場合は、「すすぎ」の水の量と回数を確認してみてください。
最近では、節水や時短の観点から、「すすぎ1回」の洗剤が主流になりつつありますが、洗剤と汚れをしっかりと流しきるには、1回ではたりません。
忙しくてどうしても時間をかけられないときなどは仕方がないですが、キレイに洗濯するには、すすぎは最低2回できれば3回必要です。
衣替えなど長期保管の前には、3回すすぐと臭いや黄ばみなど、保管中のトラブル防止にもつながります。
ドラム式洗濯機なら「注水」すすぎがおすすめ
ドラム式洗濯機は、たたき洗いで汚れを落とす洗い方のため、縦型式と比べると、もともと洗いやすすぎの水量が少ない特徴があります。
対策としては、1度に洗う衣類の量をドラムの半分くらいまでにして、洗濯物がしっかりと動き、叩き効果で汚れを落とせる状態を作りましょう。
そのうえで、さらに汚れや臭いを落とす方法としておすすめしたいのが「注水すすぎ」。
「すすぎ」とは、洗剤で包み込んだ汚れを薄めて流す目的があります。
考えてみてください。同じ量の汚れがあった時、少ない水よりも、多い水の方が汚れは薄まりますよね。ですから、たっぷりの水で薄めて流してしまうのがキレイに洗濯をするポイントです。
しっかりとすすげているかどうかは、すすぎの水を確認してみるといいですね。あまりにも濁っているようなら、まだ汚れがすすぎきれていないといえるでしょう。
食べ物の匂いや皮脂汚れには、お湯洗いが効果的
焼肉や揚げ物の匂い、汗が染みついた匂いのする衣類などを洗う際には、洗濯時の水温を上げると効果的です。
食べ物汚れや皮脂汚れは、油分を多く含んでいて、常温の水だと汚れが溶け出しにくいためです。
もともと水と油はなじみにくい性質があるので「洗い」の工程の際に、お湯を足し40度くらいに水温を上げてあげると、油汚れが落ちて、臭いも落ちやすくなります。
油汚れがついた衣類を洗う際は、「お湯を足して、水温を上げる」のが、ポイントです。
洗濯槽は、定期的に掃除をして清潔に保つ
そもそも、洗濯槽自体が汚れている場合は、雑菌などが繁殖しやすく、せっかく綺麗に洗った洗濯物に臭いがついてしまうことも…。
洗剤が洗濯槽の汚れに取られ、うまく働かないケースも増えてしまいます。
定期的に、洗濯槽洗剤を使ったり、掃除をしたりして、清潔にしておくことも忘れないようにしたいですね。
洗濯をコントロールして「臭い」のトラブル知らずに
臭いの原因である汚れをしっかり落とすためには、まずは、衣類量と水量を調整し、それに合わせた洗剤量をきちんと使って、しっかりすすぐことが基本です。
それでも残る臭いや汚れには、お湯洗いなども組み合わせましょう。
漂白剤は、洗剤できちんと洗えていれば出番は少なくなるはずです。洗剤で落とせる臭いの元は、洗剤だけで落とした方が服にもやさしいですよね。
基本を押さえてしっかりコントロールできれば、部屋干し臭いなどの気になる臭いだけでなく、さまざまな洗濯トラブルを、ぐっと減らすことができるはずです。
PROFILE 中村祐一
洗濯家・愛称「洗濯王子」。1984年、長野県伊那市生まれ。洗濯から考える「よりよい暮らし」の提案をはじめ、「衣」文化の革新にも積極的に取り組む。各種メディアにも多数出演。
取材・構成/大熊 智子