誰にでもきっと、“お弁当”にはあたたかな思い出がある
タコやカニの形をしたウインナーにふわふわの卵焼き、照り焼きやから揚げに、彩りのプチトマト。
できたてアツアツもおいしいけれど、昼になるとご飯に味がしみていて…ちょっと苦手な体育の授業も力が湧いてきたものです。
そう、子どもにとってお弁当は有効期限1日のお守り!「はい、お弁当」と玄関先で手渡してもらうお弁当に、何度となく勇気づけられたものです。
よくリクエストしたおかずや、フルーツも入っていた日の喜びなど、大人になってからも鮮明に浮かびますよね。
“母の味”はもちろん、“父の味”があるって楽しそう!
けれど、いざ自分が作る側の立場になると…朝ごはんの支度と身支度で手いっぱい!
また、夫婦で家事も育児も協働する時代ですが、お弁当となると…特にパパにとってはハードルが高い。
そんなお弁当づくりを楽しんでいるパパの様子が話題となっているのが「お弁父」。パパが作るから「お弁父(おべんとう)」なのだとか。
料理愛好家平野レミさんの息子であり、食育コーディネーターの和田明日香さんの夫、和田率さんがインスタグラムに投稿し、その人気ぶりから書籍にもなりました。
お子さんの描いた設計図をもとに、ビジュアル重視のお弁父を作ったり、おかずの組み合わせにメッセージがこめられていたり。まるで、娘さんとの交換日記のよう!
細かいお弁当作法はぬきに作られた、自由でフォトジェニックなお弁父は、見ているだけでこちらまでワクワクしてきます。
母の味だけでなく“父の味”もある家庭って、子どもたちの楽しみも倍になりますね。さあ、今回はパパが作るお弁当のコツを、和田さんに教えていただきましょう!
必要なのは子どもたちへの愛情と、ちょっとした“心得”だけ
“父の味”には憧れる。でも、いざ作るとなると…その一歩を踏み出せない! というパパのために、和田さんが初心者パパに伝えたい、お弁父作りの5カ条をご紹介します。
お弁父の心得5か条
1 BBQをイメージする
「料理ができない」というパパでもBBQならできますよね。大抵の食材は、焼いて塩をかけるだけで充分においしい。それを思い出すだけで、ずいぶん肩の力が抜けます。
2 好きなものだけ作る
自分が食べたくない料理を作るのは正直ストレスです。「これが食べたい」に勝るモチベーションはありません。
3 分量や形は気にしない
調味料の分量や野菜の切り方に縛られすぎるのは窮屈です。自分の勘と舌(味覚)を信じて作れば大丈夫。
4 感想を聞く
食べた人に言われる「おいしい」のひとことが、「またつくろう」の原動力になります。率直な感想を聞くのを忘れないこと。
5 あと片づけをする
汚いキッチンを見てママがため息をつくと、料理の後味が悪くなります。料理をしたら、できるだけ後片付けをしましょう。
あとは愛情を込めたらカンペキ!
こうして、日々お弁父を作るパパを見ている和田家の子どもたちは、「手羽先入れてね!」などと翌日のお弁当のリクエストはパパへ。すでに「お弁当はパパが作るもの」と定着しているんだとか。その習慣、わが家にもぜひ欲しい!
次回は、「
子供たちが愛してやまない「お弁父」のレシピ」では、和田さんのベストヒットレシピから、料理が苦手なパパでもマネできる、「冷めてもおいしい豚のふわふわ生姜焼き」をご紹介します。
サーフィンが趣味だったことから、早起きは妻よりも得意だったこともきっかけに。
-掲載書籍-
『お弁父』
取材・文/さくまえり 撮影/和田 率(お弁当)、伊藤 大介(その他) イラスト/タケウチアツシ