片道4時間かけて新幹線で東京へ。子どもたちを連れて、広島から仕事に向かうこともある枡田絵理奈さん。気持ちは前向き。移動中、子どもが飽きないアイデアも考え出した様子。地方にいながら東京の仕事をするためにどうしたのか。そのメンタルやアイデアについて、話を聞きました。
子どもたちと「片道4時間」かけて仕事で東京に
── 現在フリーアナウンサーとして活動されていますが、広島から仕事で東京に行くこともあるそうですね。
枡田さん:
広島で子育てをしながら、東京でフリーアナウンサーとして活動する。ふつうに考えたら難しいと思われるかもしれません。でも、コロナ以前は、子ども3人と犬1匹を連れて、広島から新幹線で東京に行っていました。
実家が横浜なので、私が仕事に行く時は、両親に子どもたちをみてもらっていました。
自分の中で主人が広島で試合がある時にはサポートをしたいと思っています。だから、主人が遠征で不在のタイミングで、何度も移動しなくて済むように、一度の滞在で仕事をまとめて入れてもらっていました。
一緒に移動させることは、子どもたちにとって負担なのではないかとか悩んでいました。そんな時、子どもの習い事の先生に「色々な乗り物に乗ったり、広島と東京の街で過ごしたり、よりたくさんの経験をさせてあげられると思ったらいいじゃない」と声をかけて頂いたんです。
その時に考え方が変わり、一緒に連れて行くかわり、子どもにとっても良い時間になるようにしようと心に決めました。
── 最近は、日帰りも増えたとか。
枡田さん:
コロナ禍ということもありますし、幼稚園などもなるべくお休みさせないよう、いまは東京で仕事の時は私1人が日帰りで東京に行っています。東京滞在時間よりも移動時間の方が長いですし、2日連続日帰りということも。
── それはかなりのエネルギーですね。
枡田さん:
エネルギーも使いますし、距離もあります。でも意外と苦ではないです。仕事は楽しいし、移動中は、自分のために使える時間なので、読書をしたり資料を読んだり、執筆をして充実しています。“できない理由”を探すのではなくて、“できる理由”を探していく感じでしょうか。
それに、いまお世話になっている事務所の方たちの役に立ちたい。以前お世話になったTBSの方たちからも、力を貸してほしいと言われたら、やはり応えたいと思っています。
また、広島での仕事も少しずつ増えてきました。広島で子どもを預ける環境が整うまではなかなかできなかったのですが、今はしっかりと子どもも安心して過ごせる環境が整ったので、お仕事させていただいています。
マネージャーさんには限られた中で日程調整を頼んでいるので、本当に感謝しています。今のところ何とか成り立っているし、主人も応援してくれています。
なるべく周りに迷惑をかけないように、でも、子どもたちの未来も考えて、安定しないフリーランスですので、働ける時に働かせていただこうという気持ちです。
子どもたちがグズらない新幹線の過ごし方
── しかし、子ども連れで通われた頃は、広島から東京まで新幹線で片道4時間かかりますが、子どもたちはじっとしていましたか?
枡田さん:
これは、私のなかでプランニングしています。コロナ禍になる前は午後出発が多く、まずは午前中に公園で思いっきり遊ばせて疲れさせる。そのまま新幹線に乗って、お昼ご飯を食べて、揺れでウトウトしてくる。そこで2時間くらいお昼寝。
残り2時間。塗り絵を出す。絵本を読む。シールの本で楽しんだり、小さなすごろくをしたり、磁石を使って楽しめるようなボードの遊びをしたり…もう、私の鞄は四次元ポケットのようです。そしておやつタイム。新幹線に乗った時しか食べられない特別なお菓子を用意します。
UFOキャッチャーやガチャガチャのおもちゃになっているラムネをよく持っていくのですが、一粒ずつしか出てこないので食べるのに時間がかかっておすすめです!
ちなみに、子どもがこぼさないよう、食べやすい物を選びます。念のため、足元にシートを敷いて食べるようにしたり、気をつけています。
このように色々なプランがあって、最後の15分くらいはYouTubeを見せることも。ふだんあまり見せないのでものすごい食いつきです。
ただ、YouTubeを出すことはほとんどなくて、新幹線の移動に付加価値をつけているので、すごく楽しんでくれてあっという間に時間が過ぎます。私の都合で連れて行っているので、新幹線で嫌な思いはさせたくない。
周りにも迷惑をかけずに楽しく過ごせるよう心がけています。また、子どもたちには新幹線に乗る経験を通じて、周りに人がいる中でのルールも学ばせます。
── そのプランは何かきっかけがあって、できあがったのでしょうか?
枡田さん:
なんだろう、経験でしょうか。新幹線に何度か乗るうちに、今回はこれで遊んでくれたとか、これは周りに迷惑をかけずに楽しめるな…とか。その積み重ねで、何となくプランができた感じです。
── 今後は、どのような形で仕事を進めていきたいですか。
枡田さん:
コロナ自体は、もちろん良くないことではあります。でも、地方で働いている私にとっては、得たものもありました。リモート出演が可能になったので、自宅にいながらラジオ番組に出演できるし、インタビューや取材も受けられるようになりました。
今までは、東京に行けないから「すみません」と断っていた仕事が、今は現場に行かなくても受けられます。はじめは、コロナ禍で仕事が減るかと思っていましたが、逆に増えましたね。
また子どもたちの成長に合わせて変化していくと思いますし、まだまだ働き方は探り探りですが、これからも広島や東京での仕事も含めて、柔軟に対応していきたいと思います。
PROFILE 枡田絵理奈さん
1985年神奈川県生まれ。成城大学卒業後、2008年TBSに入社。『チューボーですよ!』『スーパーサッカーJ』『NEWS23』など様々な番組に出演。2014年広島東洋カープ・堂林翔太選手と結婚。2015年6月にTBSを退社。同年9月に長男、2017年長女、2019年に次女を出産。現在は広島で子育てをしながらフリーアナウンサーとして活動中。
取材・文/松永怜 画像/枡田絵理奈Instagramより