新型コロナウイルスの影響により激動の一年となった昨年、
社会全体で最もフォーカスされているキーワードといえば「サスティナブル(=持続可能な)」。化粧品業界でも、パッケージや原料を環境に負荷をかけないものに変えるなど、社会的に持続可能な取り組みを行うムーブメントが起きています。

 

そんな背景を踏まえ、今注目のブランドとその取り組みについてご紹介します。

 

今回取り上げるのは、「meettree」。100年以上続く老舗木材会社が作り出したボタニカルコスメが注目を集めています。いったいどんなブランドなのでしょうか。

100年続く老舗木材会社が「今の時代に必要」という思いで開発

岐阜県中津川市。かつては宿場町としても栄えた地域で100年続く木材会社が立ち上げたのが「meettree」。シンプル・ナチュラル・サスティナビリティをコンセプトにした、地球と人に優しいライフスタイルブランドです。

 

ブランドのネーミングの由来は、「桧」という漢字から読み取れるように、“木と出会う”という意味合いからきています。中津川の木曽ヒノキは、伊勢神宮を建て直す木材としても使われるほど屈指のブランド。姫路城にも中津川のヒノキ材が使われているそうです。

ヒノキの廃材

丸山大和代表によると、昭和30年代は木材の自給率100%だった日本でしたが、海外の業者が次々と入ってきたことにより、現在では20%を切ってしまっているのだとか。国産の需要が低下しているために失業者は増え、せっかく育った国産の木材が有効に使われていないと言います。

 

木材からは建築材だけでなく、家具をはじめしゃもじやバイオリン、鉛筆、紙など、さまざまな身近なアイテムが作られます。森や木があることで水を蓄え、川の水を保ち、綺麗な飲水の源になる…。丸山代表は「meettree」ブランドを通して「森や木の重要性」をテーマとして掲げつつ活動しています。

ヒノキ葉の精油を使った「アロマ除菌」は最高の清々しさ

先述したように、木材はさまざまな用途で使われているうえ、特に木曽ヒノキの幹の部分は製紙用チップやバイオマス発電などでも活用されつつあります。その一方で、葉のほうは山に捨てられてしまっているという現状がありました。

精油に使われるヒノキの葉

葉には非常にリラックス効果があることを知り、「何かに活用できるのではないか」と考えた丸山代表は、葉から抽出できる精油を活用したブランドを立ち上げます。

 

一般的に「ヒノキ精油」とされるものは木の幹から抽出したものがほとんどで、葉から抽出される精油は非常に貴重なのだそう。木の幹の精油と違い、フレッシュでみずみずしい爽やかな香りを放つのが印象的です。

ヒノキの精油

meettree」では、部位によって精油の特性が異なることに注目。アイテムごとに適した効能とフレグランスバランスを考え、葉の精油、木精油、葉と木のブレンド精油を使い分けて開発しました。また岐阜大学の協力を得てヒノキ精油のリラックス効果も実証し、知見の集積にも取り組んでいます。

 

製品ラインナップには、今年リニューアル発売したヘアケアアイテムのほか、日常生活にも取り入れたいアイテムがたくさん。今回は、なかでもコロナ禍で特に注目を集めている、プッシュ式のアロマ除菌剤をご紹介します。

meettree アロマ除菌
HINOKI プッシュ式アロマ除菌 500ml 2200円(税込)

ヒノキの葉から抽出した精油を使い、グレープフルーツ種子エキスやローズマリーエキスなどもバランスよく配合したシンプルな処方。シリコーン、鉱物油、紫外線吸収剤、ラウレス、サルフェート、エデト酸、合成酸化防止剤、パラベン、合成香料、合成着色剤の10の添加物不使用も実現しています。

meettree アロマ除菌 使用中の様子

ポンプ部分にティッシュやキッチンペーパーなどを押し当て、液を含ませてテーブルや物などを拭き取り、気軽に除菌が可能。嗅覚を捉えるウッディかつ爽やかな香りがとっても心地よく、心も落ち着きます。

フラッグショップやホテルなどで「木の心地よさ」を広く伝える

今年春には、誕生の地である中津川に初のフラッグショップをオープン。ヒノキ材をふんだんに使用したという店内はリラックス&リフレッシュ効果抜群です。併設のカフェでは地元・中津川名産の栗を使用したモンブランなどのスイーツを提供し、非常に人気なのだそう。
meettree フラッグショップ店内

来年には“木とスチールのハイブリッド”を実現したホテルが完成予定で、アメニティとして「meettree」のアイテムが置かれるそう。リラクゼーション効果たっぷりの空間になること間違いなしです。

 

一方、「meettree」の商品を購入することによって、苗木を植えるサポートができる活動や、商品容器をバイオマスの容器に変えていくことなども視野に入れています。

 

さらに、地域の子どもたちに紙芝居で木材について伝えるボランティア活動を積極的に行うなど、未来を担う子どもたちへの働きかけを大切にしているといいます。

meettree 小学生の社会科見学の様子
文/久保直子 撮影(静物)/清永 洋 画像提供/meettree

製品を購入することで森を守ることが地球を守ることにつながり、生まれてくる資源を大切にすることにもつながる。こうした木の循環を製品を使うことで感じてほしい…。「meettree」には、そんな思いが込められているのです。