美味しく食べることの大切さを教えてくれた無印良品の木のスプーン

定期的に買い替えしているカトラリーとして、無印良品の木のスプーンがあります。

 

ひとり暮らしを始めてはじめのうちは金属のスプーンしか持っていませんでした。 もちろんそれでも問題なく暮らせます。 ただ、あたたかい食べ物って、木のスプーンで食べた方がずっとあたたかみを感じられるんですよね。

 

そのことを教えてくれたのは前職の上司。

 

仕事でインテリア関連の小物を取り扱っていたのですが、ある日、木のスプーンの話になり、 上司が「木のスプーンで食べると、同じスープでもよりあたたかみを感じて美味しくなる」と話していました。

 

上司の言葉を聞いて、木のスプーンを購入してポタージュを食べてみました。 舌の上に触れるスプーンが、ぽってりした断面の木のスプーンだと、確かにあたたかみを感じて、これまでよりずっと美味しく感じました。

 

そのとき自然と、舌先の感覚に全身全霊でフォーカスしていました。 美味しく食べよう、という気持ちで全身がスープを迎え入れる態勢になっていたんですね。 美味しく食べるための心の準備の大事さを知りました。

 

のときの感動があるので、今もあたたかいスープは木のスプーンで食べるようにしています。

ウレタン塗装のスプーンを使っていますが、繰り返し洗ううちに塗装が剥がれて、木部に水分が入って次第に黒くなってきます。そこは割り切って、変色したら買い換える、ということをここ数年繰り返しています。

 

金属に一本化すれば買い替えは発生しないのですが、 それでもやっぱり、木のスプーンで食べることは自分にとってささやかなご褒美なので、 木のスプーンを買い続けています。

 

文・イラスト/おふみ 構成/阿部祐子