時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

今回はジャーナリストで東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授の治部れんげさんに取材。女性の再雇用・就職市場の現状を伺いました。

「家庭を経験」は強み、女性はアピールを

── 以前は第一子の出産を機に退職をする女性の比率が6割を超えるという調査結果もありました。出産とキャリア、再就職など、女性の仕事を取り巻く環境に変化はあるのでしょうか。

 

治部さん:

女性管理職を増やしたい企業は、キャリアのある女性を本気で求めています。

 

ですから、数年のブランクがある場合でも、あきらめずエントリーしてみて下さい。家庭経験についても、業界や応募書類の書き方によっては、プラスに捉えられる場合があります。

 

また、これはアメリカの例ですが、主婦の再就職を支援していた人の話では、寄付金集めなどのボランティア活動をしている人が再就職には有利だそう。

 

寄付金を集められることは、営業ができることとほぼ同義です。ボランティア活動で培った能力を仕事に転換したらどうなるか、きちんと説明できれば。ひと昔と状況はだいぶ違うのではないかと思います。

 

── 家事や育児でも間接的に仕事に役立つ能力は培われますよね。再就職にあたってはその棚卸しをし、自身の経験が仕事に置き換えるとどう役に立つか、説明できるようにしておくことが必要なんですね。

働くママのイメージ

夫にも復職意思を

治部さん:

また、離職前の仕事でスキルを蓄積してきた人は、一時的に育児や介護で組織を離れても、市場での需要はあると思います。

 

だからこそ、子育て期間を経て再びキャリアを継続したい人は、その意思表示を続けることが大事です。

 

意思表示は、企業に対してもそうですが、家庭内でも同様。夫に対しても「私だっていつまでもあなたのサポートをするわけじゃないよ」と伝え続けましょう。

 

PROFILE 治部れんげ

治部れんげ
1997年、一橋大学法学部卒業。日経BP社にて経済誌記者、2006〜07年ミシガン大学フルブライト客員研究員、14年よりフリージャーナリスト。18年、一橋大学経営学修士課程修了。現在、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。著書は『「男女格差後進国」の衝撃 無意識のジェンダー・バイアスを克服する』など多数。

取材・文/天野佳代子 写真提供(プロフィール)/治部れんげ