思い出を手放すために、自分を納得させる方法
ひとつめは「持ち物における、”思い出”と”生活”の比率から考える」こと。
思い出の品はかけがえのないものとはいえ、思い出の品だけでは生きていけません。人の生活には道具が必要です。例えば部屋の持ち物の8割が思い出の品、残り2割が実用品だとすると、比率の歪さを感じますよね。
思い出を何もかも手放す必要はないけれど、現在の生活を圧迫するようでは本末転倒です。人は今を生きているので。そこで、収納の容量から何割を思い出の品に充てるかを意識してみましょう。
そして「今にフォーカスする」こと。
例えばお子さんの図画工作などの作品は次々新しいものがやってきますよね。それらをすべて残すとかなりの場所を必要とし、現実的ではありません。
例えばリビング収納の天板の上の一角を展示スペースとし、今そこに飾っているものだけを残し、新しいものが来たら入れ替えて、そこから溢れたものは手放すという形をとってもいいかと思います。それを作ったお子さん自身が作品に思い入れがあるならまた別ですが、案外作り終えたら意識は次に向かっていたりしませんか?
もし、手放せないのは親の気持ちによるものが大きいようであれば、今にフォーカスして手放していくのも一つの手です。
また、手放すか迷うということは、手放したい理由も残したい理由もあるはずです。それを書き出してみて比較すること考えを整理することもできます。また写真に撮って手放すというのも、自分を納得させる上でいちばんスタンダードな方法ですね。
思い出はものがないと思い出せないもの?「思い出ノート」を作ってみる
思い出の品を物理で残したいと思うのは、ものを手放すと思い出ごと手放すことになるような気がするからではないでしょうか。
ものを見ると過去の映像がぱーっと視界に浮かびますしね。 でも、思い出はものがないと思い出せないものなのでしょうか。本当に思い出深いことは、ものなんて関係なくカレンダーの日付を見ただけでも、過去に訪れた地名を聞くだけでも勝手に思い出されてきます。物理がなくても思い出は残ると考えるだけでも、手放しやすくなります。
あるいは、ノートに思い出を記録するのも有効です。
思い出深いレコードのジャケットを写真に撮って、アナログでもデジタルでもいいのでメモ帳に写真を貼り付け、横に手に入れた日やその曲を聞いた日の思い出を書き付けると思い出が強く残ります。過去が懐かしくなったらこのノートを見返せばいいと思えたら、手放せる気持ちになるのではないでしょうか。
ただ、いざ手放そうとすると喪失感が大きく、悲しくてしょうがないというものがあれば、無理して手放すことはないと思います。はじめにも書きましたが、唯一無二で買い戻せないものなので。 今の生活を守りつつ、何年かかってもいいのでゆっくり判断したらいいと思います。
文・イラスト/おふみ 構成/阿部祐子