孫に甘く、おもちゃなどをドンドン買い与える両親。それならこちらも甘えちゃおう…そういって、やたらと親の財布を当てにして、スネをかじる夫婦も。「頼るのもいいですが、ほどほどに。あとで思わぬ問題を招きますよ」と、家計再生コンサルタントの横山光昭さんはいいます。その問題とは?
週末は“1円も使わない”なんて夫婦も…
少子化が進んだことで、祖父母の財布のひもがゆるみ、孫に惜しみなくお金を出すようになったといわれます。実際、お祝いはもちろんのこと、ふだんの食事やおもちゃ、洋服など、さまざまな場面で両親からお金をもらう夫婦はけっこういるでしょう。
それに慣れてしまい、必要以上に親の財布を頼る人も多いようです。弊社に家計相談に訪れるご夫婦にも、週末になると必ず実家に行き、食事をごちそうになり、実家の車を乗り倒し、一緒に買い物に行って服やおもちゃを買ってもらう人が…。
しかし、あまり甘えてばかりいると、そのツケがあなたに回ってくるかもしれません。のちのち、両親がお金に困り、今度は自分たちが金銭的にサポートせざるを得ないことは珍しくありません。
介護や住宅…思わぬ大出費は突然やってくる
今の高齢者世代は貯金を多く持っているといわれています。皆さんのご両親もそうかもしれませんが、一生安泰かというと、そうとは言いきれません。介護や病気などで急に大金が必要になることがあるからです。
たとえば、介護が必要な状態になったら、老人介護施設に入る可能性もあります。特別養護老人ホームのような公的施設に入れれば月々10万円前後の出費で済みますが、公的施設には入れず、民間の老人ホームに入るとなると、一気に費用が跳ね上がります。
入居時に支払う一時金は数百万円が一般的で、1000万円以上になることも少なくありません。さらに月額利用料が10万円以上かかることもザラです。病気にかかり、治療費がかさむこともあるでしょう。
住居に関しても、高齢になると、住宅の建て替えやリフォームが必要になる時期ですから、これもまた1000万円以上の費用がかかるケースもあります。
このように出費がかさむと、いくら親がコツコツ貯金をしていたとしても、その額はかなり減ります。それ以前から孫にお金を費やしていたら、貯金額自体が想定額より下回っているはず。生活に困り、子どもに助けを求めることも不思議ではありません。
つまり、親のお金だと思って無意識に出してもらってばかりだと、自分たちも苦しい状況に置かれる可能性があるわけです。スネをかじりすぎるのも考えものだとわかるでしょう。
習い事や塾代を出してもらうのは一番マズイ
そもそも、「じいじ」や「ばあば」が孫の言いなりになって何でも買い与えることは、教育上よくありません。「欲しい」と言ったら何でも買ってもらえる経験をすると、ガマンのきかない子どもに育ちます。
ただ、「子どもにあれこれ買い与えないでほしい」といっても、自分たちが親に甘えていては説得力がありません。親が子どもを甘やかさないためには、自分たちが甘え過ぎないことが大切です。親からのお金は、日常的にもらうのではなく、お祝いの時など、一定の条件を設けたほうが健全です。
とくに避けたほうがいいのは、習い事や塾などの月謝を親に払わせること。そうすると、親が払えなくなったとき、仮に自分たちにも払う余裕がなければ、子どもにやめてもらう必要が出てくるかもしれません。これは誰にとっても不幸です。
育児にかかわる費用は、親のお金をアテにしすぎず、自分たちだけでまかなえるようにする。そういう意識を持っていれば、お金に苦しむ事態を防げるはずです。
監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ
参照/「みんなの介護」https://www.minnanokaigo.com/guide/cost/
「LIFULL介護」https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/cost/