「なんで、コンビニとスーパーではジュースの値段が違うの?」「どうして、レストランのアイスはスーパーより高いの?」「山の上で買うジュースはなんで高いの?」。
子どもは小学生にもなると、あれこれ疑問を持って、親にたずねてきます。「子どもの素朴な疑問はお金や社会のことを教えるチャンス」と、家計再生コンサルタントの横山光昭さんは言います。では、冒頭の質問、小学生相手にどう答えますか?
物の値段について答える時の2つのポイント
冒頭であげた「物の値段」に関する質問を、小学生低学年・中学年に教えるのは難しいことです。
どうすればうまく答えられるでしょうか。私はいつも以下の方法で答えています。「値段」に関する疑問は、子どもの理解度に合わせて、次のどちらかで説明します。
- 値段に含まれているものの違い
- 需要(買いたい人)と供給(売りたい人)のバランス
値段に含まれる費用を分解して説明してみよう!
まずは「商品の値段に含まれているものの違い」です。これを整理すると、主に以下が挙げられます。
- 原材料費…何かをつくるときの材料代
- 人件費…つくる人、売る人など、働いた人に支払うお金
- 機械生産設備費…つくる機械代
- 場所代…つくる場所や売る場所代
- 光熱費…つくる場所や売る場所代
- 物流費…つくる場所から売る場所に運ぶ人や車代など
- 利益…つくる人や売る人がお金を得るためのもうけ
同じ商品でも値段が違うのは、これらのお金(費用)のどこかに違いがあるからです。すべてを説明できなくても、その一部だけでも教えてあげられれば、子どもにとって良い学びになります。
たとえば「なぜコンビニとスーパーではジュースの値段が違うの?」には、「コンビニは24時間お店が開いていて、長い間働いているからお給料(働いた人がお仕事をするともらえるお金)も多く払わないといけない。だから、その分、商品の値段は高くなってしまう」と、人件費の面から説明できます。
また、「なぜレストランのアイスはスーパーのアイスより高いの?」という質問には、「レストランのアイスは、スーパーよりも高い材料を使っている」「レストランはお客さんに食べる場所も用意しているので、その分、値段も高くなる」など、原材料費や場所代の面から説明できます。
値段に含まれている費用で説明すると、「一つの商品が君の手に届くまでに、いろいろな人が関わっているんだよ」と、社会の仕組みも伝えられます。
売りたい人より買いたい人が多いと値段を高くできる
一方の「需要(買いたい人)と供給(売りたい人)のバランス」。こちらは、「買いたい人が多くて、売りたい人が少ない商品ほど、値段が高くても買ってもらえるので、値段を高くできる」と話すのが原則です。
人気があって皆が欲しいモノや貴重なモノ、すぐに手に入らないモノは値段を高くできるわけですね。宝石やなかなか獲れない魚の値段が高いのは、皆が欲しくて、なかなか手に入らないから。
「なぜ山の上でジュースを買うと高いの?」には、需要と供給のバランスで説明ができます。街中ならスーパーやコンビニ、自動販売機がたくさんあるから、簡単にジュースは手に入ります。でも、山の上ではそうはいきません。
山頂まで大量のジュースを運ぶのは難しく、数も限られてきます。しかし山登りをしてノドがカラカラな人は、値段が高いか安いかではなく、とにかくジュースを飲みたい。つまり、売る人は少ないけれども、買いたい人は多い。だから、山の上のジュースは値段が高くできるというわけです。
このように、子どもの素朴な疑問と向き合うと、いろいろなことを伝えられるものです。聞かれてわからないことがあれば、一緒に調べてみましょう。その積み重ねをしていれば、いつの間にか、親子でお金や社会のことに詳しくなれるはずです。
監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ