毎年届く「ねんきん定期便」にはとりあえず目を通すけれど、受け取れる金額は定かじゃない…そんなあなた!「インターネットで、たった2クリックするだけで将来の受給額はハッキリしますよ」と、家計再生コンサルタントの横山光昭さんは言います。いったい、どうやって?

「ねんきんネット」で将来もらえる金額も判明!

将来、年金はいくらもらえるか?現時点で確定している金額は誕生月に郵送される「ねんきん定期便」に書いてありますが、これだけでは将来の金額がわかりません。そこで活用したいのが、日本年金機構の「ねんきんネット」です。

 

このサイトを使うと、将来もらえる年金額が簡単にわかります。今の保険料の支払いデータをもとに、それが60歳まで続く想定で年金額を算出してくれるのです。支払った額や年収など、面倒な入力をする必要もなく、2回クリックするだけで算出できます。

 

「ねんきんネット」は、ねんきん定期便に記載された「アクセスキー」でユーザー登録すると、すぐに利用できます。ただ、アクセスキーの有効期限は定期便が届いてから3か月。有効期限が切れていると、会員登録に1週間程度かかります。

 

また、三井住友銀行の年金試算シミュレーションを使うのも良いでしょう。こちらも、現在の老齢厚生年金

(※会社員の場合)と年収を入力すると、年金額が試算できます。

本当に貯めるべきお金は2000万円?それとも?

試算とはいえ、将来の受給額がわかれば、それまでに貯蓄すべき金額の目安も見えてきます。老後の生活費を試算して、夫婦二人分の年金収入を引けば、たりない金額がわかるからです。

 

たとえば、毎月かかる生活費が35万円で年金が月25万円なら、不足するのは月額10万円。老後が65歳から20年間と考えたら、10万円×12か月×20年で2400万円が必要な計算に。実際は海外旅行をしたり、介護施設に入ることも考えると、それ以上貯めておく必要があります。

 

もちろん、老後の生活費をまかなう方法は貯金だけではありません。60歳を過ぎてからパートなどで働けば十分足しになります。また、今から投資を始めておくのもひとつの手です。いずれにしても、年金額を試算すると、必要な金額をリアルに考えられるようになる。すると、「今から月3万円は貯めよう」などの貯金額の目標も見えてくるでしょう。

年金を払っていない場合の意外なデメリットとは?

年金制度に関しては「将来、破綻するから信用しない方がいい」とよく言われることがあります。家計相談をする人の中にも、保険料を払っていない人がたまに見受けられます。確かに、将来、年金額が減額される可能性は低くありません。しかし、それでも保険料は払うことをおすすめします。

 

なぜなら、減額されることを考えても、ここまで確実に老後資金が得られる手段は他にないからです。インフレに対応しているのもポイント。もしインフレが起きてお金の価値が下がったとしても、国の年金はそれを加味して年金支給額を増やします。民間の個人年金保険は、このようなインフレ対応がありません。

 

また、国民年金の保険料を払っていないと、障害年金や遺族年金も受けられなくなり、お金を有利に運用できるiDeCo(イデコ)も利用できなくなります。後悔しないためにも、年金の保険料は払っていくのが賢明です。

監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ
参考/「日本年金機構 ねんきんネット」https://www.nenkin.go.jp/n_net/
「三井住友銀行 年金資産シミュレーション」https://www.smbc.co.jp/kojin/special/nenkin/simulation/simulation.html