「食事だけでは、ガンや脳梗塞などの大病や新型コロナウイルスは防げません。
でも、そんな病気にかかりにくく、かかったときに戦える体力をつくることを目指して、勉強することにしました」
そう語るのは、今年59歳になるタレントの麻木久仁子さん。
若々しさを保っている秘けつは、麻木さんが最近になり取得した「温活士」や「国際中医師」、「国際薬膳師」の資格とも関係がありそうだ。
「私は子どものころから健康には自信があり、入院したのは33歳で娘を出産したときくらいでした。ところが、48歳のときに脳梗塞、50歳目前で乳がんが見つかりました。
どちらも早期発見で、大事には至りませんでしたが、健康への過信が招いた結果だと考え、食生活を見直そうと思い、薬膳を学び始めました」
40代後半からの不調に備えて
最近はコロナによるステイホームで生活様式が変わり、不調を訴える人たちも増えている。
「30、40代の女性が仕事に育児に大忙しだということも、まだ体力があり無理がきくことも、自分の経験からわかっています。
ただ、一旦立ち止まって40代後半から来るかもしれない不調に備えてほしい。薬膳や温活など、簡単なケアであれば日ごろから実践できますから」
麻木さんが学んできた「薬膳」はともかく、「温活」は聞きなれない言葉だが、読んで字のごとく身体を温める活動のこと。
「現代は、身体の冷えを訴える女性が多いと思います。これからの季節でも、冷房による冷えや、暑いところから涼しいところへの急速な温度変化で、不調になる人が多いようです。
顔や上半身のほてりがあるが、下半身やつま先を冷えている人もいると思います。そんな人たちの身体を温め、ほてる場合はゆっくりと冷まそうというのが、温活になります」
医師や鍼灸師、薬剤師などが中心となり設立された「日本温活協会」のカリキュラムを麻木さんは受講。
分子細胞生物学や栄養学、温泉医学や東洋医学も学び、指導士の資格も取得し、最近はオンラインで「温活料理」の教室を始めたばかり。
その前には、中国の伝統医学である「中医学」を学び国際中医師の資格も。
特別な食材は使わない
「そんな温活や東洋医学の基礎になるのは、薬膳を取り入れた食事となります。薬膳というと、特別な食材を使った独特な味わいの料理を想像してしまうと思いますが、誤解です。
ポイントは、“今の身体に必要かを考え、食べる”ということです。
朝食に、生野菜サラダや果物、ヨーグルトを摂る人も多いと思いますが、これらは身体を冷やす食べ物です」
「だから、おかゆにして身体を温める効果があるショウガを入れてみましょう、というのが薬膳の考え方です。
他にもたとえば、唐揚げなど油を使った料理は胃がもたれるので、蒸し鶏にする。
コンビニで済ませるときも、生野菜サラダか野菜スープだったら、野菜スープにするなど、温かそうな食べ物を意識することが薬膳です。
絶対に何かを食べてはいけないとか、特定のものを食べなさいという考えがないのが、温活や薬膳の特徴で楽しいところです」
身体が熱いときは…
カレーや火鍋など、熱々な激辛料理をかきこめばいいというわけではない。
「スパイスなどを取り入れることは、身体の温めにいいですが、刺激が強すぎるのはよくありません。
逆に身体がほてるときには、きゅうりやトマトを食べて、冷ますというやり方も薬膳です。
極端かもしれませんが、私はビールも常温で飲んでいますよ(笑)。
キンキンに冷えたビールは、夏の楽しみとしていいかもしれませんが、やはり身体を冷やします。そんな気づきを、年を取る前にもってもらいたいですね」
自分の身体に向き合う
更年期障害でいわゆる「ホットフラッシュ」と呼ばれる、上半身がほてる症状も冷えとは無縁ではないと麻木さん。
「顔や身体は熱いのに、手先やつま先は冷えている場合もあります。どこが熱いのか、じっくりと自分の身体に向き合う必要があります。
熱さのほうが気になるなら、生野菜や果物でゆっくりと冷ましながら身体全体のバランスをとるのがいいかもしれません」
お風呂の入り方も
食事以外にも温活で注意すべきところはある。
「お風呂の入り方です。朝風呂をする方は、熱めのお湯にサッとつかり身体のエンジンをかける意識をもってほしいです。
逆に夜、熱いお湯につかるのは、交感神経を刺激して熟睡できなくなるので、ぬるま湯にしたほうがいいです。それでも、ほてる方は半身浴でも足湯でもいいと思います。
このような気づきを若いうちからもってもらえば、病気になりにくい、病気になっても戦える身体になると思います」
まだまだ若くて体力はある。忙しくて時間がない。そんな女性にこそ、身体を温める意識を持ってほしいというのが、麻木さんの願いだ。
PROFILE 麻木久仁子さん