中学生のトニーニョくん(15歳)と3人で暮らす、漫画家の小栗左多里さんと外国人でジャーナリストの夫・トニーさん。
夫婦で子育てをしていくなかで「異文化で育った者同士はどうやったら折り合えるのか?」と試行錯誤した経験から感じたことや自分の幼少期の体験を、それぞれに語ります。
今回は「ひとり親」について。海外生活を経験し、その文化に触れる機会が多い左多里さんが、日本の社会全体がひとり親をサポートするためにできることは何か、注目しているサービスとともに解説してくれました。
「両親が揃っていないと不幸」と言われてしまう不幸
「両親は揃ってないと」。 この言葉を聞くたびに、「わかっちゃいねえ!」と思う。
確かに、両親が揃っているのはいいことだ。しかしそれはあくまでも「仲のいい両親が」である。親の喧嘩が、どれだけ子どもを不安にさせ、心に傷をつけるか。それが続くようなら別々に暮らした方が平穏に過ごせる日が増えるし、親を嫌いにならないですむ可能性が高まるのではないだろうか。
ひとり親の世帯に寄り添う取り組みは徐々に増えてきている
とはいえ、女性がひとりで育てるとなると、賃金が低いことも、その前に仕事を得ることも、そして住まいを確保するのも大変だ。何年か前に、シングルマザーや家族が集まって一軒家をシェアしているという記事を読んだが、そのときは、けっこう批判的な意見もあった。日本だけなのかわからないけど、新しいものに対して批判的だったり、過剰な心配をする声が多いなと感じる。それでもシェアハウスそのものも広まったし、最近は空き家が多くなったこともあって、ひとり親や多世代のシェアハウスが増えてきたようだ。
シングルマザー経験者が経営しているものもあり、平日に夜ご飯を頼めたり、就労支援や近くに住む民生委員にいろいろ相談できるなど、かゆいところに手が届くサービスが付いていたりもする。
なかでも、とてもいいなと思ったのは、1階に小さな保育園と洗濯代行店が入っていて、その上の階がひとり親世帯が借りられる千葉県のマンション。人数に限りがあるものの、そこに住んでいるシングルマザーは洗濯代行店で働くこともできるのだ。
そしてここは、ワンルームマンションのように個室に水まわりも付いていて、共有のLDKもある造り。この建物は洗濯代行店の店長でもある男性オーナーが、シングルマザーをなんとか助けようと思い立って建てたものなのだとか。天才&神様か。
もし私が市長なら感謝状送っちゃうだろうな…。というか見習って、自治体の持っている土地や物件で同じようなことをすると思う。
シングルマザーだけでなく、シングルファザーにももっとサポートを
自治体としては、渋谷区では空いていた公務員用の寮で、民間会社がひとり親と単身者のためのシェアハウスを運営している。人気地区のせいか家賃が高いのは残念だけど、シングルファザーも入れるし、 近隣のママサポーターとの引き合わせイベントなども催しているそう。
シングルファザーの平均年収は一般的にシングルマザーの倍ほどと言われているので、入居審査に通る率も上がるだろうけど、もちろん年収が高くない人もいるし、 非正規雇用も増えてきている。それに子育ての悩みや頼る人がいないという問題に男女の区別はないから、シングルファザーが入れる施設ももっと増えるといい。
広島県では、公営住宅のワンフロアをシングルマザー向けにしている例もある。母子生活支援施設も前からあるけれど、合わない人にとって選択肢があるのは大きい。
子どもが何時間か過ごせるコワーキングスペースもあるという情報もネットで見た。もしかして今すでにある業態に「プラス保育」を実現することもできるかもしれない。親だけでなく、
ひとり親が完成形の家庭もある。もちろん同性同士の親もいるし、