汚部屋からなんと130キロのモノを捨て、スッキリした生活を手に入れたミニマリストのおふみさん。モノを片付けようと思っても、何を捨てたらいいのかわからなくなったり、片付けた分モノを増やしてしまったりと、挫折してしまいがち…。整った部屋に暮らすおふみさんは、モノとどう付き合っているのでしょうか?
バッグは3つ、冬服は12着…モノを増やすときは「上限の数を決めて管理する」
── おふみさんはそれまで住んでいた家よりも狭い家への引っ越しを機にミニマリストを目指し、ハイエース1台分ものゴミを捨てたということですが、その後、物量がリバウンドしかけたことはありますか?
おふみさん:度々ありました。生活しているとモノはどんどん部屋に入り込んできます。自分で買わなくても、ノベルティでものをもらったり、人からものをもらったり、ポストからチラシが入ってきたり、ただ暮らしているだけでもモノは増えていきます。意識して定期的に減らし、物量コントロールをする必要があります。
モノが増えてきたときに、ついつい「たし算思考」になってしまって、収納を買いたそうとしがちです。しかし、そういうときに意外にも夫が「収納を買うより中身を減らして今の収納で何とかした方がいいんじゃない?」と提案してくれることが多いです。
不要なものはないと思っていても、徐々に生活スタイルや興味関心は変わっているもの。収納の中身を全部出してモノを見直してみると、不要なものが出てきて、整理することで収納を買い足さなくても済むことも多々あります。もちろん生活スタイルが大幅に変わった場合は必要なモノが変わって物量を増やさないと生活が回らない場面もあるとは思いますが。
自分ひとりでは足し算思考に寄りがちなので、家族や友人などに相談してみると客観的視点を取り戻せて、引き算思考で考えられるようになるのでおすすめです。
── 収納用品があればスッキリするのではないかと考えてしまうこと、よくあります…。ブログを拝見すると、バッグは3つまでなど持ち物を定数化したりと、管理を常に工夫されていらっしゃいますね。洋服や雑貨など、新しくモノを増やすときはどんなことを考えていらっしゃるんでしょうか?
おふみさん:新しく洋服を増やす時に考えていることは、シーズン毎の定数を意識しています。夏は10着前後、冬はアウターなどアイテム数が増えるので12着前後を、おおまかな上限として決めています。これを超えないように意識すれば、際限なくモノが増えるのを防げます。
また、季節の変わり目に2回モノの見直し機会をつくるようにしています。
例えば夏服なら、夏が始まる前の5月頃に1回目、夏が終わった秋頃に2回目の見直しをします。1回目は昨年から持ち越した夏服を全部出して生地の傷みなどを確認し、今年の自分にとって着たい服かどうかを問いかけてみます。
不要だと判断したらその場で手放しますし、着られなくもないけれどそれほど気分が上がらないという服は一旦保留にしてその年の夏の間持っておき、季節が終わった秋の2回目の見直しのタイミングで再度検討します。その夏に袖を通していれば残しますし、結局着なかったり、着ても気分が上がらなかったので来年は着ないと判断したら手放します。こうして、来年も着たいと思えるものを残します。
新しく雑貨を増やすときには、基本的にひとつ増やしたらひとつ減らす「1in 1out」を意識しています。どんどんモノを増やしていくと住所が飽和状態になってしまいます。以前使っていたものは残したくなりますが無理に活用しようとせず必要なければ手放す、というように、同じジャンルのものが増えたら何か手放すということを意識しています。
── 数を把握し、意識的にコントロールしていくことが大事なのですね。一方でおふみさんの中で、これだけは数を減らせないというものはありますか?
おふみさん:萩尾望都先生の漫画『トーマの心臓』の紙の本です。電子書籍版、文庫版、スペシャルエディション版と3パターン持っているものの、それぞれに利点が異なります。電子書籍版から順に、出先で読める、一冊にまとまっている、カラー扉が収録されていて判型が大きい、というメリットがあります。人生で一冊選ぶなら間違いなくこの本で、一年に一度読み返すようにしています。それほど思い入れのある本なので、この作品に関しては、紙の本は手放せません。
また、推しのブロマイド、雑誌の切り抜き、写真集、過去のグッズもA4の無印良品のファイルボックス一つに収まる分と上限を決めて、推しのグッズを保管し、たまに取り出して鑑賞しています。
片付けは、まず「思い入れのないジャンル」から手をつける
── 自分にとって大事なものは無理に減らさず、大事にとっておいていいということですね。モノを減らしたいけれど、どこから手をつけていいかわからない!とい場合はどうしたらいいのでしょうか?
おふみさん:まずは、そこまで思い入れのないジャンルから手をつけるのがいいと思います。服が好きな方は自ずと服が多くなっていると思いますが、そこにメスを入れるのは大変です。思い入れのあるものは手放す判断をするのが難しく、ラスボス級の存在と言えます。片付けを繰り返して、自分なりの要不要の判断を決めるものさしが育ってきてから挑んだ方がいいです。
まずは、例えばすでに払い終えた数年前の公共料金の書類など、明らかに不要だとわかるようなものから取り組むのがいいと思います。手放せると達成感が得られるので、簡単なところから始めて、徐々にステップアップしていくことをおすすめします。
また、自分の片付け欲を刺激してくれるものを見つけておくのもおすすめです。例えば、私はミニマリストブログを読んだり、すっきりしたクローゼットの写真を見ると片付けのやる気が湧きます。「なぜ手放したのか」というその人の思考を知ることができ、読み終えたその場で立ち上がって、ゴミ袋を片手に片付けして回りたい気持ちになります。
また、いつまでも服を減らせずにいた時は、毎日のように「ミニマリスト クローゼット」や「すっきり クローゼット」で画像検索して、やる気をもらっていました。
これくらいの服の数でも暮らせるんだな、こんなアイテムを残しているんだな、と学びを得られます。自分のクローゼットの物量と理想とのギャップを把握できるので、ゴールから逆算して大まかな進捗がわかり、できることから取り組もうという気持ちが高まります。今だったらInstagramでタグ検索をしたり、YouTubeでクローゼット紹介の動画を見たりしても良いと思います。
漠然と「片付いた部屋」を思い描いて片付けるよりも自分の理想の暮らしに近づけていこうとすることで、長くモチベーションを保てそうですね。
片付けの際に役立つ、おふみさんの連載がCHANTOWEBで近日スタートします。おふみさんが日々の生活で見つけた、部屋を心地よくするヒントを紹介していただきます。こちらもお楽しみに!
PROFILE おふみさん
30代、整理収納AD1級のイラストレーター、ブロガー。夫婦ふたり暮らし。汚部屋状態から一念発起、2014年からミニマリストに。著作に『ミニマリスト日和』(ワニブックス)ほか、『夢をかなえるノート術』(エクスナレッジ)『バッグは、3つあればいい』(KADOKAWA)などがある。
文/阿部祐子