子どもが大きくなってくると、「お金持ちがどうか」といった質問をされるケースがあります。友達の自慢話を聞いたり、家に行ったりすると、自分の家がどうなのか、気になるわけです。正直にそのまま答えていいのか悩むところ…、ご自身も6児の父である家計再生コンサルタントの横山光昭さんに伺いました。
裕福でも生活が苦しくても「答えは同じ」
裕福な家庭の場合で「お金がある」と言えば、あれこれ買ってほしいといわれそうですし、やや生活が苦しい家庭で「貧乏」というと、子どもに余計な心配をかけてしまいます。正直に答えていいのか悩むのは、どちらも子どもに良い影響を与えない、と思うからでしょう。ただ、ウソをつくのも…。
もしそんな質問をされたら、「普通だよ」と答えることをおすすめします。裕福だとしても、家計に余裕がなかったとしても、同様です。理由は、単に自分の家庭を「貧乏」か「お金持ち」だと決めつけるだけではなく、「貧乏とお金持ちの2択で人を判断する」子どもになってほしくないからです。
そのような考えを持つと、必ず裕福でない家庭の子どもを見下したり、逆にお金持ちの子どもに対して劣等感を持ったりします。子どもの教育を考えれば、最も避けたいことです。
そもそも貧乏かお金持ちかは見た目では判断できません。世帯収入が少なくても資産を持っている人もいれば、派手な暮らしぶりをしていてもカツカツの家庭もあります。相談に来るお客様にも、家賃が月4万円台のワンルームマンションに住みながら3000万円の貯金がある、という人もいます。
しかし、それを言ったところで、大きな子どもならわかるかもしれませんが、小さな子どもには理解できないはず。少なくとも小さい子には「普通」と答えるだけで十分です。
「うちはうち、人は人」の後に付け加える言葉とは?
「なぜ〇〇ちゃんの家はゲーム機があるのに、うちはないの?」「なぜ〇〇ちゃんの家は広いのに、うちは狭いの?」といった質問もされるでしょう。これも返答に困るかもしれませんが、この質問をされたときはむしろチャンスといえます。
さすがに未就学児には難しいですが、子どもが小学生なら「どこにお金をかけるかは人それぞれで、比べてはダメだよ」「大切なのは『何にお金をかけるか、かけないか』で、自分にとって価値があるものを見つけよう。そうすれば、“幸せな”お金の使い方ができるようになる」と、お金への基本的な考え方を教えるきっかけになるからです。
返答するときは「うちはうち、人は人」で済ませても良いのですが、もう少し具体的に答えるなら「うちはみんなが過ごしやすい家を作りたいから、おうちにお金をかける。でも、ゲームはみんなが楽しいわけではないから、お金をかけない」と、方針を伝えると良いでしょう。
こうした話を必要な時に話していると、子どももお金に対する使い方について考えるようになり、価値観が定まっていきます。
ちなみに、我が家の場合は、月1回のマネー会議に家族が全員参加しています。そこでは家の収入と支出を隠すことなく発表し、「何にお金を使い、何にお金を使わないか」を話し合っています。このような場を作ると、貧乏かお金持ちかという二分論で物事をとらえなくなり、お金の使い道も考えるようになるでしょう。
監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ