「お金が貯まる人と貯まらない人の違いは、『冬』にある」。家計再生コンサルタントの横山光昭さんはそう指摘します。両者の「冬」には、どのような違いがあるのでしょうか。あなたはどちらのタイプですか?

光熱費、お祝い、新春セール。冬は出費がかさむ時期

お金が貯まる人とお金が貯まらない人の大きな違いは、「冬の出費をどう乗り切っているか」です。

 

冬は四季の中でもっとも出費が増える季節です。暖房を使うことで光熱費が上がり、体調を崩しやすく、医療費も増える傾向があります。お年玉やクリスマスプレゼント、親戚の進学祝いなどの臨時出費もかさむ時期です。

 

新春セールにつられて、財布の紐がゆるくなる人もいるでしょう。私も、今年の正月、なぜか、近所の雑貨店でモフモフの肌触りが楽しめる雑貨の福袋が欲しくなり、つい衝動買いしてしまいました。家に帰って開けてみると、自分のような中年男性が使うような商品ではなく、娘にあげてしまいましたが。普段、家計相談に乗っている立場の私も、たまにはこういうことがあります(笑)。

 

ここ1年はコロナ禍で外出していないので、出費が減った人も多いと思いますが、反対に「外出できないのなら、せめて自宅で楽しもう」と、食費や娯楽費にお金をたくさん使っている人も見かけます。その影響もあり、このコロナ禍においては、変動費が極端に増えている傾向が見られます。

 

いずれにしても、冬にお金を使い過ぎると、貯金がしづらくなります。「ボーナスをもらったから大丈夫」と大船に乗った気分でいると、いつの間にかボーナスを使い切るようなことに。他の時期にコツコツ貯めたお金をすべて吐き出してしまったら、努力が水の泡です。

出費を「ガマンしない人」ほど貯金できる?

お金が貯まる人は、どのように冬の出費を抑えているのでしょうか。

 

私はこれまで2万3000件以上の家計相談をしてきましたが、冬の出費を抑えるのが上手な人は、意外とガマンをしていません。少なくとも、暖房をつけるのをケチって、ふとんにくるまっているようなタイプではありません。それなりにお金を使っています。

 

なぜ、それで出費を抑えられるかといえば、「冬の予算を決めている」からです。「冬はある程度出費が増えるから仕方ないよね」と、最初から増えることを見込んで、他の季節よりも予算を多めに設定している方が多いのですね。

 

やみくもに予算を多めにするのではなく、「お年玉をあげるのは5人だから、23万円程度かかる」「光熱費は昨年の額から予測して、2万円はかかる」と、予定支出から割り出して予算を組みます。新春セールなどで使う金額も、上限額を決めています。

 

これらの予算は冬だけでなく、1年間をトータルで見て、自分の収入と相談しながらたてています。だから年間を通してバランスよく使えるのです。今年はだいぶ冬が過ぎてしまいましたが、今からでも遅くはありません。3月までの予算をたてましょう。

 

私のおすすめは、「浪費をしていい金額」も決めて、その範囲内なら自由に使っていい、とすること。私のモフモフ雑貨のようなものを買っても良くなります(笑)。切り詰めすぎると続かなくなるので、冬の予算の5%程度は浪費をOKにする(特別に大きな支出がある場合はそれを除く)。そうすれば、ストレスが発散でき、勢いで大きな浪費をするようなことはなくなるはずです。

 

監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ